ニュース
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- 新聞
- 2019.3.29
- 読売中高生新聞にてキミ本大賞1位を受賞しました
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- 新聞
- 2018.10.27
- 日経新聞「春秋」にて紹介されました
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- 雑誌
- 2018.10.2
- 「週刊朝日」10/12号「ベストセラー解読」にて長薗安浩さんに紹介されました
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- 新聞
- 2018.10.1
- 産経新聞「産経抄」にて紹介されました
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- 新聞
- 2018.9.30
- 朝日中高生新聞で紹介されました
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- リリース
- 2018.9.21
- オリコン週間“本”ランキングで7位にランクインしました
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- WEB
- 2018.9.19
- NHK NEWS WEBで紹介されました
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- 新聞
- 2018.9.16
- 静岡新聞「気になる本」にて紹介されました
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- WEB
- 2018.9.15
- 本の要約サイト flier「戦略的コミュニケーションのススメ 「他人」と「自分」を考える5冊」で紹介されました
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- テレビ
- 2018.9.15
- NHK「おはよう日本」で特集されました
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- WEB
- 2018.9.15
- 「ほんのひきだし」で紹介されました
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- 新聞
- 2018.9.2
- 毎日新聞「この1冊」にて紹介されました
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- リリース
- 2018.7.31
- 『友だち幻想』累計発行部数が30万部を突破しました
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- 雑誌
- 2018.8.7
- 「サンデー毎日」8/19-26号にて南沢奈央さんに紹介されました
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- 新聞
- 2018.8.2
- 毎日新聞「特集ワイド」にて紹介されました
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- リリース
- 2018.7.31
- 『友だち幻想』累計発行部数が30万部を突破しました
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- テレビ
- 2018.7.29
- TBS系列「林先生が驚く初耳学!」で林修先生に紹介されました
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- ラジオ
- 2018.7.11
- TBSラジオ「たまむすび」にて居島一平さんに紹介されました
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- WEB
- 2018.7.5
- 毎日WEB「経済プレミア」の「ベストセラーを歩く」にて紹介されました
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- 新聞
- 2018.7.3
- 河北新報にて紹介されました
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- リリース
- 2018.7.3
- 阪急線全線にドア横額面広告を掲出中です
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- リリース
- 2018.7.1
- 都営地下鉄全線にドアステッカー広告を掲出中です
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- ラジオ
- 2018.6.23
- J-WAVE 「BOOK BAR」にて杏さんに紹介されました
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- 新聞
- 2018.6.20
- 茨城新聞「いばらき春秋」にて紹介されました
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- 新聞
- 2018.6.17
- 河北新報「とうほく本の散歩道」に小林直之さんによる書評が掲載されました
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- 雑誌
- 2018.6.12
- 「婦人公論」6/26号の「ベストセラー散歩」にて鵜飼哲夫さんに紹介されました
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- ラジオ
- 2018.6.12
- NBC長崎放送「午後ゴGO!」にてメトロ書店本店・川崎綾子さんに紹介されました
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- 雑誌
- 2018.6.12
- 「andGIRL」7月号のカルチャーページにて紹介されました
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- リリース
- 2018.6.11
- 『友だち幻想』累計発行部数が25万部を突破しました
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- 新聞
- 2018.6.9
- 産経新聞「話題の本」にて紹介されました
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- 雑誌
- 2018.6.7
- 「週刊文春」6/14号の「ベストセラー解剖」にて紹介されました
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- 新聞
- 2018.6.6
- 京都新聞「凡語」にて紹介されました
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- 新聞
- 2018.6.4
- 読売新聞夕刊の「ひらづみ!」に朝比奈あすかさんによる書評が掲載されました
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- 新聞
- 2018.6.3
- 長崎新聞「とっとって」にてメトロ書店本店・室田大祐さんに紹介されました
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- ラジオ
- 2018.5.30
- ラジオ茨城FM「FMだいご」の7色!図書委員会。にて紹介されました
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- WEB
- 2018.5.25
- 早稲田塾ブログ「ワセダネ」の“受験生必見!おすすめブックNAVI”にて紹介されました
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- テレビ
- 2018.5.25
- NBC長崎放送「Nスタプラス長崎」の「カルチャーウォッチ」コーナーにてメトロ書店本店・川崎綾子さんに紹介されました
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- 新聞
- 2018.5.23
- 佐賀新聞に書評が掲載されました
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- 新聞
- 2018.5.20
- 京都新聞に書評が掲載されました
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- 新聞
- 2018.5.19
- 朝日新聞「売れてる本」に武田砂鉄さんによる書評が掲載されました
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- 新聞
- 2018.5.18
- 新聞之新聞に書評が掲載されました
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- 新聞
- 2018.5.13
- 信濃毎日新聞に書評が掲載されました
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- 新聞
- 2018.5.11
- 時事通信より「人気の本」として記事が配信されました
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- 新聞
- 2018.5.10
- 山形新聞に書評が掲載されました
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- リリース
- 2018.4.30
- オリコン週間“本”ランキングで5位にランクインしました
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- 新聞
- 2018.4.26
- 共同通信より「売れてる本」として記事が配信されました
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- WEB
- 2018.4.21
- 「ほんのひきだし」で紹介されました
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- WEB
- 2018.4.21
- 「ダ・ヴィンチニュース」で紹介されました
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- テレビ
- 2018.4.14
- 日本テレビ「世界一受けたい授業」で又吉直樹さんに紹介されました
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- 新聞
- 2017.6.6
- 朝日新聞で紹介されました
目次
はじめに──「友人重視指向」の日本の高校生
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一人でも生きていける社会だからこそ〈つながり〉が難しい
「親しさを求める作法」が、昔とは違う
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二種類の人と人とのつながり
人は一人でも生きていけるが、一人だけではなんとなく空しい
「自己充実」──幸福のモメントその一
「他者との交流」──幸福のモメントその二
①交流そのものの歓び
②他者から承認される歓び
他者=自分以外のすべての人間
「見知らぬ他者」と「身近な他者」
他者の二重性
①「脅威の源泉」としての他者
②「生のあじわいの源泉」としての他者
人は他者の二重性に振り回される
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なぜいない人の悪口を言うのか──スケープゴートの理論
心が休まらない「メール即レス」
同調圧力──友情が脅迫になる
ネオ共同性──現代の新たな圧力
同質性から並存性へ
「一年生になったら」──「同質的共同性」指向の原点
昔は「同質的共同性」だけでよかった
「やりすごす」という発想──無理に関わるから傷つけあう
「ルサンチマン」は誰の心にも生じることがある
適切な距離は人によって違う
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「ルール関係」と「フィーリング共有関係」に分けて考えよう
「フィーリング共有関係」だけで考えるといじめはなくならない
「フィーリング共有関係」の負の部分
ルールは「自由のため」にある!
誰かをいじめると、自分がいじめられるリスクが生まれる
だから「気に入らない人とも並存する作法」が大切
ルールは必要最小限にしたほうが、ルール関係は築きやすい
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先生は生徒の記憶に残らなくてもいい
「話せばわかる」も幻想
個性教育よりもまずやるべきこと
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家族をとらえる二つのキーワード──「定位家族」と「生殖家族」
親の「包摂志向」と子どもの「自立志向」がぶつかりあう思春期
大人になるということ
君たちには無限の可能性もあるが、限界もある
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目上の人との距離感
異質な他者とのつきあい
「傷つきやすい私」とのつきあい方
「友だち幻想」
恋愛こそ幻想を持ちやすい
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関係が深まらない「コミュニケーション阻害語」
①「ムカツク」と「うざい」
②「ていうか」
③「チョー」「カワイイ」「ヤバイ」
④キャラがかぶる、KY(空気読めない/空気読め)
言葉を得なければ、世界も自分もとらえられない
読書は対話能力を鍛える
苦しさを通して得られるもの
楽しても楽しくない
おわりに──「友だち幻想」を超えて
絶賛の声、ぞくぞく!
- 高校1年女子です。いじめによるクラスでの孤立に悩んでいます。今、この本を読んで本当に良かったです。漠然と私の感じていたことを、端的に言葉で表し、私の感覚は間違っていなかったと肯定してくれて、勇気をくれました。実際には、この本に書かれてあることを自分一人が実行することは難しいことです。女子で1人なのは私だけだ。後ろ指をさされるかも。なんだか浮いてるみたい。そんな不安はあります。しかし、もう、この本しか私に頼るものはない気がするんです。新学期ですね。私も少し、気持ちが軽くなった気がします。できれば、クラス全員にこの本を読むことを課してほしい。そうすればもっと生きづらい人が生きやすくなるだろうと思います。図書館で借りたこの本を要約した自分のメモをポケットに常に入れて、頑張ってこの学年を、やり過ごそうと思います!勇気と共感を、本当にありがとうございました。 ゆかさん(読者・15歳)
- 私にとって同調圧力ほど怖いものはない。興味が無いことでも、みんながやってるからという理由で、誰にも強制されてるわけでもないのに無理してやっていた。今思うとこれは自分自身が自分に圧力をかけていたようにも思う。本当の友だちとはなんなのか、この本は深く考えさせてくれた。一緒に遊び、笑い、時にはお互いを慰めたり、逆になんかいるだけで落ち着いたり、そんな人が本当の友だちかもしれない。 (読者・中学生)
- 若者向けの指南書なのですが、私のような60代後半の婆さんといえども、「みんな仲良くのしんどさ」から逃れられないトラウマを抱えている身には、判り易く平易な言葉ですが、ホッとしました。「味方」か「敵」の二者択一ではなく「態度保留」で「距離を置く」ことでその人を「嫌い」という言葉を封印できます。生きづらさを抱えている全ての年代の方へ。のりこさん(読者・読書メーターより)
- 確かに「どうして分かってくれないの!」が人間関係をこじらせる最も大きくてありふれた原因なのかもしれない。他人の心は見えないのに、わかり合える、だなんてそもそもがおこがましいことなんですよね。それは友達や恋人といった間柄だけではなくて、親子、もきっとそう。親しき仲にも礼儀あり、は、自分以外は他者であることを忘れるなということなのでしょう。うめさん(読者・読書メーターより)
- 自分だけの悩みじゃなかったんだ、と知ってほっとしました。(読者・中学生)
- 近しい関係こそ大切だと思っているから、十分気をつかっていたつもりなのに、うまくいかないのはなぜだろう。この本を読んで、その理由がわかった。(読者)
- 冷静なまなざしは残しつつ、こんな風に自分の身の上話を交えながら読者に優しく語りかけてくれる社会学者に初めて出会った。読みながら心の底のモヤモヤが晴れていく。「人づき合いは苦手だ。でも、一歩踏み出してみよう」そんな勇気が湧いてくる1冊に出会えた。(読者)
書評
「友だちの哲学」
この本は、人間関係を生きやすくするための、ちょっとしたヒント集……なんてものではまったくありません。中学生でも読めるくらいやさしい言葉で書かれながらも、19〜20世紀ドイツの社会学者ジンメルや、その同時代の哲学者フッサールの現象学をはじめとする、菅野さんの深い学問的教養と人間洞察力がすべてのページに染み渡る、すぐれた“哲学書”とさえ呼ぶべきものです。
●友だちは脅威?
友だち、それは時に大きな「脅威」になる存在です。一見仲良しグループに見える友だち同士も、その内実は、いつか自分が仲間外れにされるんじゃないかとビクビクし合っている関係だったりすることがある。友情という名のもとに、「私たちは同じだよね」と、過剰な同質性を迫ってくる存在でもある。
その一方で、友だちは「生の味わいの源泉」にもなりうる存在です。自分を認めてくれたり、支えてくれたり、何かに共に熱中できたりする、そんな「生の味わいの源泉」としての友だち。
特に若い人たちは、この友だち関係の“二重性”に、いつも多かれ少なかれ振り回されながら生きています。
じゃあ、私たちはどうすれば、「脅威」としての友だち関係ではなく、「生の味わいの源泉」としての友だち関係を築いていくことができるのだろう?
これが、本書のすぐれた問いです。
この問いに対する菅野さんの“答え”もまた、やっぱりとてもすぐれたものです。
「同質性」から「並存性」へ。
気の合わない人と無理に友だちでいようとすると、やっぱり息がつまります。でも、学校やクラスなんかでは、「みんなで仲良く」とか言われてしまう。その結果、子どもたちはむしろますます追いつめられてしまう。
「みんなで仲良く」というのは、同じ価値観や感受性、感情を共有する関係、つまり「フィーリング共有関係」を迫る言葉だと菅野さんは言います。でも私たちは、いつでも本当に「フィーリング」を共有する必要なんてあるんでしょうか? それって結局、私たちをますます息苦しくする関係なんじゃないでしょうか?
●ルールを共有する
菅野さんが提案するのは、「ルール関係」を底に敷いた友だちづきあいです。それはつまり、「同じであること」を求め合うのではなく、どんなに合わない人も、とりあえず存在だけは認めた上で、お互いに上手に調整し合う関係です。
「フィーリング」を共有できる友だちは、いたらいたでもちろんとてもいいものです。でも、誰もがそんな友だちになれるわけじゃない。そんな時は、無理にフィーリングを合わせようとするのではなく、最低限のルールを共有することで、お互いの心地よさを尊重し合う必要がある。そう菅野さんは言うのです。
「あの子ちょっと苦手なんだよね」と言う子どもに、親や先生は、「そんなこと言わずに仲良くしなさい」なんて言ってしまいがちです。でも、むしろ大人には、「どうしても気が合わないんだったら、ちょっと距離を取ってみたら?」と言えるセンスが必要だと菅野さんは言います。お互いを過度に苦しめる関係なら、ちょっと離れてみる。これもまた、「ルール関係」としての友だちづきあいの一つの大事なあり方なのです。
●言葉を手に入れるということ
この本が“哲学書”としてすぐれているのは、上に見たような、「並存性」や「生の味わいの源泉」といったさまざまな「言葉」を、私たちにふんだんに提供してくれるところです。菅野さん自身、こんなことを言っています。
言葉というのは、自分が関わっていく世界に対していわば網をかけて、その世界から自分たちなりの「意味」をすくいとることによって、自分たちの情緒や論理を築き上げていく知的ツールなのです。(p. 143)
この本で語られる、「同質性から並存性へ」といった多くの言葉を手に入れることで、読者はきっと、より豊かな友だち関係を模索していくことができるはずです。
私事ですが、菅野さんと私は、哲学の研究会で何年もご一緒してきた“友だち”でした(大先輩ですが、あえてそう言いたいと思います)。
密かに感じていたのは、菅野さんはとても繊細な方だということ。若い頃は、やさしくて、細やかな気遣いができるからこそ、かえって人間関係にも苦しんだことがあったんじゃないかなぁ。そんなふうに思っていました。
そんな菅野さんのやさしさに、私自身何度も救われたことがありました。仕事の関係で、お互いにずいぶん住む場所が離れてしまってからも、私のちょっとした変化に敏感に気がついて、「一徳君、もしかして、今ちょっと精神的にきつい状況なんじゃない? ちゃんと休んでね」なんて声をかけてきてくれる方でした。
ガンとの戦いは、とてもつらいものだったと思います。でも、そんな闘病中も、周囲にそれを気づかせないくらい、菅野さんはいつも飄々と笑っていた——。
菅野さんが亡くなってから、ご家族と、親しい学問仲間たちでお別れ会を開きました。
集った仲間たちは、みんな間違いなく、菅野さんにとっての「生の味わいの源泉」としての友だちでした。
菅野さん、こんな素晴らしい本を残してくれて、本当にありがとうございました。この本は、これからもずっと、多くの若者の心に届き続けるに違いありません。
対談
著者からのことば
担当編集者よりひとこと
著者に代わってひとこと
この度、著書『友だち幻想』が再注目され、大変嬉しく思っております。
この反響を受け「研究者として一石を投じる布石になる覚悟!」というような文が主人の院生時代のノートに書き留めてあったことを思い出していました。
主人が『友だち幻想』を書こうと思ったきっかけの一つに当時小学生だった長女が学校での友人関係に悩んでいたことがあります。
親として子供が暗く悩む姿を見るのは本当に辛いもので、夫婦で朝まで話し合ったことも度々でした。
また、学生たちからの聞き取りやレポートから同じような悩みを抱えている学生が多いことを知ったのもきっかけになりました。
この本は、彼が専門とする社会学者 ゲオルク・ジンメルが説いていた論をクロスさせ「実存の社会学」として現代ならどう捉えなおすのかと研究者として思考し、教育者そして子を想う父親の視点から書かれたものになっていると思います。
偶然にも主人が逝去してから五ヵ月後に長女が心臓による突然死で亡くなっております。
もしかしたら私は『友だち幻想』を皆様へ伝え届けるメッセンジャーという運命だったのかも知れません。
ぜひ、ご一読いただければ幸いです。
この「ちくまプリマー新書ガイドブック」では、「学び」を軸に6つのテーマをたてて、これまで刊行してきた多彩なラインナップの中から、テーマ毎に選りすぐりの本を紹介しています。これらの本の多くがすでに多くの学校で推薦図書として、あるいは試験問題のテキストとして定番的に読まれているものだということを付け加えておきます。このガイドブックが皆さんと「ちくまプリマー新書」との良い出会いのきっかけになることを願っています。
「ちくまプリマ―新書」は一冊ごとに表紙の図柄が変わります
装幀=クラフト・エヴィング商會