子どものことで相談していた友人から勧められて読み始めました。昔と今とでは教育の状況も違うでしょ? と半信半疑で手にしましたが、とんでもなかった。子どもに関わる人にとって大切な姿勢ってどの時代にも通じるんだなぁ。どうしてもっと早く教えてくれなかったの!って思ってしまいました。
ワンオペ育児に辛くなっていた時、はまさんの愛情深く厳しい言葉に何度も支えられました。今はいないおばあちゃんと話しているようなあたたかさを感じました。
息子が第二反抗期をむかえ、途方に暮れる日々の中で手に取りました。「~なさい」を言わずに子どもを動かす知恵は、我が家でも実践してみたい。
教えることのプロの言葉は、正直、私には耳が痛かった。読みながら、自分が子どもだった頃を思い出してハッとしました。あのころ大人にされて嫌だなって思っていたことを今は自分がしているな、反省、反省。読んでいて目が覚めました。ちゃんと叱ってくれた著者に感謝したいです。
戦前から戦後にかけ、50年にわたって教壇に立ち続けた伝説の国語教師・大村はま。
本書は、もともとは教師のあるべき姿について語った 講演録ですが、現代の子育てに迷える私たちへの厳しくも温かいエールと、多くのヒントがつまっています。
本書は、もともとは教師のあるべき姿について語った 講演録ですが、現代の子育てに迷える私たちへの厳しくも温かいエールと、多くのヒントがつまっています。
※子育てに迷える人へ
「教師」を「親」に、置き換えて読んでみてください。
「教師」を「親」に、置き換えて読んでみてください。
子どもは、常に一人一人を見るべきであって、それ以外は見るべきでない、束にして見るべきものではないと思います。
P.66
自分が敬意を持っていないと、子どもを大事にすると言いながら子どもを甘やかしていることがあると思います。「甘やかし」と「敬意」とはたいへん違うと思います。
P.69
卒業した生徒が何か自分で言ってこない限りは、私はあとを追いません。「どうぞ新しい世界で、新しい友人を持って、新しい教師について、自分の道をどんどん開拓していきますように」そんなふうに子どもを見送っております。
P.71
子どもをかわいいというのでしたら、子どもが一人で生きるときに泣くことのないようにしてやりたいと思います。今のうちなら、たとい、勉強が苦しくて泣いていたってかまわないのですが、いちばん大事な時に泣かないようにしてやりたいと思います。今日のこの幸せの中にいる時には、頭をなでてもなでなくても同じことだと思います。
一人で生きるときに、不自由なく、力いっぱい生きていける、そういう子どもにしていかなければ子どもは不幸です。子どもを不幸にするようなことをしていて、愛情をもっていたなどと言ってみても、どうなりましょう。
一人で生きるときに、不自由なく、力いっぱい生きていける、そういう子どもにしていかなければ子どもは不幸です。子どもを不幸にするようなことをしていて、愛情をもっていたなどと言ってみても、どうなりましょう。
P.110
敬意といいますか、尊敬を心からもって、この宝物を大切にしたいと思います。年が小さくて子どもっぽいのに気がゆるんで、ことばが乱れたり、態度が乱れたりすることはこわいことだと思います。子どもは白紙の心でじっとみなさんをみつめ、そしてみなさんを尊敬しています。年が上だから尊敬するようになっているのです。実際には、私たちよりも、もっともっとすばらしい人がたくさんいる。
P.68
「反抗心」と見えるのは熱に燃える子どものなまの心だと思います。それが幼いから、礼儀正しくうまく表す方法を知りませんから、そういう形で出てくるのです。子どもに反抗されることは、私にとっては喜びであり、楽しいことだと思います。彼らは私を乗り越えて行くのです。
P.70
一生懸命やればできるということを子どもに求めるというか、求めすぎるところに、私は甘さがあると思います。
P.105
至らない子どもで、何もできない子どもでも、見ていて悲しいほど自分を伸ばそうと思っています。私たち指導者は、その子どもたちと同じ気持ちになることが、まず大事でしょう。
P.152
豊かな力を、先生の指がふれたことも気づかずに、自分の能力と思い、自分のみがき上げた実力であると思って、自信に満ちて、勇ましく次の時代を背負って行ってくれたら、私はほんとうの教師の仕事の成果はそこにあると思うのです。
P.158