「包帯クラブ」トップへ

関東のはずれの町に暮らす高校生・ワラ(騎馬笑美子)は、病院の屋上で、不思議な少年ディノ(井出埜辰耶)に声を掛けられる。手首に巻いた包帯から、リストカットしたとディノに決めつけられて苛立つワラ。しかし彼が屋上のフェンスに包帯を巻くと、まるで傷ついた風景が手当てされたように見えて、不思議と気持ちが軽くなるのだった。
そんなある日、ワラは親友のタンシオ(丹沢志緒美)から失恋の相談を受ける。病院で見た風景を思い出し、傷ついた場所に包帯を巻いてあげると、タンシオは「これ、いい」と大感激。それが、「包帯クラブ」の始まりだった――。
新たなメンバーが加わり、本格始動した「包帯クラブ」。ホームページを公開して評判が広がっていくと同時に、「包帯クラブ」の活動は思わぬ波紋を起こしていき……。
メンバーたちは人の心の傷に寄り添いながら、やがて自分の傷と懸命に向き合っていく。

  • ワラ(騎馬笑美子)
    16歳。親の離婚や見えない自分の将来にいらだつ日々。
    自分の居場所を探している。
  • ディノ(井出埜辰耶)
    17歳。包帯クラブの発明者。
    突拍子もない行動で周囲を驚かせる。
  • タンシオ(丹沢志緒美)
    ワラの親友。失恋して包帯を巻いてもらった。
    これがクラブ結成のきっかけに。
  • ギモ(柳元紳一)
    タンシオの幼馴染。人に言えない秘密がある。
  • テンポ(本橋阿花里)
    包帯クラブに否定的だが、実は人知れず悩みを持つ優等生。
  • リスキ(芦沢律希)
    家庭の事情で高校に進学しなかった。
    見た目は不良だが心優しい。

天童 荒太(てんどう・あらた) プロフィール 1960年、愛媛県生まれ。作家。大学卒業後に執筆活動に入る。’86年『白の家族』で第13回野性時代新人文学賞。’93年『孤独の歌声』(新潮社)で第6回日本推理サスペンス大賞優秀作。’96年『家族狩り』(新潮社)で第9回山本周五郎賞。2000年にはベストセラーとなった『永遠の仔』(幻冬舎)で第53回日本推理作家協会賞を受賞。同年『あふれた愛』(集英社)、04年には文庫版『家族狩り』(新潮文庫)を五部作であらためて書き起こした。08年『悼む人』(文藝春秋)で第140回直木賞を受賞。09年 『静人日記』(文藝春秋)、12年『歓喜の仔』(幻冬舎)がある。他の著作に画文集『あなたが想う本』(舟越桂と共著・講談社)、対談集『少年とアフリカ』(坂本龍一と共著・文藝春秋)がある。

包帯クラブ 表紙・画=五十嵐大介

傷ついた少年少女たちは、戦わないかたちで自分達の大切なものを守ることにした。
生きがたいと感じるすべての人に贈る長編小説。
ちくまプリマー新書『包帯クラブ』刊行から7年――。
大幅加筆して文庫化。

包帯クラブ』 天童荒太 著
ISBN978-4-480-43015-1
2013/6/12刊行
ちくま文庫
定価:本体500円+税(税込)
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