関東のはずれの町に暮らす高校生、ワラ、ディノ、タンシオ、ギモ、テンポ、リスキ。彼らはそれぞれに傷ついた少年少女たちだった。戦わないで自分自身の大切なものを守りたい、そんな思いから彼らは包帯クラブを結成する。その活動を描いた前作『包帯クラブ』から16年。本作では前作の終わりから話が始まる。人が傷ついた場所に包帯を巻く活動は、無理解や反発などを受け、自粛を余儀なくされる。しかし、ひっそりと会うなかでバンドを始める。バンドの発表の場を求めながら、別の形での包帯クラブの実現を試みる彼ら。本作では、未来の、成人した彼らの姿も交差して描かれる。
この世界にあふれた悲しみのひとつひとつを手当することは難しいが、だから何をしたってむだ、とは言いたくない。自分たちのやり方 で、自分を守り、大切な人たちを守ろうと踏み出す彼らの第二幕が開く。
お知らせ
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- ラジオ
- 2023.10.28
- NHK FMシアターでオーディオドラマ(後編)が放送されました。
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- ラジオ
- 2023.10.21
- NHK FMシアターでオーディオドラマ(前編)が放送されました。
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- WEB
- 2022.06.21
- 「リアルサウンド ブック」に著者インタビューが掲載されました。
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- WEB
- 2022.04.16
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毎日新聞に著者のインタビューが掲載されました。
「つらい時逃げていい 天童荒太さん『包帯クラブ』続編にこめた思い」
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- ラジオ
- 2022.04.14
- 「ラジオ版 学問ノススメ」に著者が出演しました。
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- 新聞
- 2022.03.15
- 時事通信より著者インタビューが配信されました(以降、各地方紙に掲載)。
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- 新聞
- 2022.3.8
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産経新聞にて紹介されました。
「編集者のおすすめ」前作から16年、著者の思い結実
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- 雑誌
- 2022.3.4
- 「ダ・ヴィンチ」2022年4月号に著者インタビューが掲載されました。
天童荒太 著
包帯クラブ
ルック・アット・ミー!
The Bandage Club Look At Me !
四六判上製/336頁/ 2022年3月14日発売
ISBN:978-4-480-80507-2/定価:1760円(10%税込)
装丁:名久井直子 装画:田雜芳一
特別ダブルカバー仕様で限定発売決定
包帯クラブ(ちくま文庫)
なんてことない毎日だけど、どこかで少しずつ傷ついている。ある日ふと、傷ついた場所に包帯を巻いてみたら、気持ちがすっと楽になった。それが「包帯クラブ」のはじまりだった──。少年少女たちは、戦わない形で、自分たちの大切なものを守ることにした。いまの社会をいきがたいと感じているすべての人に語りかける長編小説。2006年発表、映画化もされた話題作。
文庫/240頁/ 2013年6月10日発売
ISBN:978-4-480-43015-1/定価:550円(10%税込)
ダブルカバー デザイン:名久井直子 装画:田雜芳一
あの頃の私はそれまでに負った心の傷が全て化膿してしまったようにとても不安定な時期でした。
包帯クラブがあれば、あそこにもあの場所にも包帯を巻いて欲しいと願うばかりでした。
私のあの頃の傷は少しだけ痛むけれど、読み終わり、今度は誰かのために包帯を巻ける側になりたいと感じました。
コロナ禍で直接の人との接触が制限され、オンラインが当たり前となり、会って感じる息遣いやちょっとした表情の違いから感じる親しい人達の変化に気付きにくくなっているように思います。
だからこそ、この作品の再始動は間違いなく望まれていたのだと思います。
誰かの痛みを感じること、大切な人を守ることをきっとまた教えてくれる作品であると思います。
心が傷ついている人、助けを求めたくても声を上げることができない人が少しの勇気で自分がここにいることを伝えるため包帯を巻く。
近くにいる誰かがその人を見つけて手を差しのべる。もしそれが全世界に広がれば…。
一冊の本で世界が変わるかもしれない。日本だけじゃなく世界で読まれるべき作品。
全てが報われた奇跡のようなエンディングに心が震えた。
「包帯クラブ」の絆に、途中何度も涙してしまいました。
そして物語全体が、傷の手当だけでなく、心の傷もそっと癒してくれる優しい包帯に包まれていました。
体と心の疲れを和らいでくれる、瑞々しいオアシスのような作品!!
読み終えた後も、ずっと胸に希望の灯がともっています。
あ読んでいる間は自分の心にも包帯が巻かれていくようで「あぁ、自分は傷付いていたんだ」と、気付きました。
あ自分自身が傷付いていたり、いまの世界情勢に心を痛めていたり、おそらく私以外にも多くの人が気付かないうちに、いや気付いていないふりをしながら細かくたくさん心に傷を負っていると思います。
あそんな人たちに読んでもらいたい。きっと私のように気付くはず。
あそしてまずは自分に、そしてその後に他の人にこの作品を勧めてほしい。その輪はきっと世界を包み込み人々を癒してくれる、包帯のように。
でももう一方でその傷に包帯を巻いて、傷みをやわらげようとする人達がいる。
包帯を必要とするものに気づける人間になりたい。
自分が今何をしなければならないかをすぐ判断して実行できる彼らがまぶしい。
誠実で芯がある彼らに出会えて、その輪よ広がれと声高く叫んでいた。
好きな仕事のはずなのに、それでも気づかないうちにしんどいことが積み重なっている。
いつも本を持つ私の右手にも包帯を巻きたい。巻いてあげたい。
そんな風に自分にも優しく、そしてもちろん周りの人にも優しくなれる物語でした。
高校生くらいの若者にはもちろん、大人になって久しい私のような人達にも読んでほしい。
いつの間にか忘れていた“何か”を思い出すはずだから。
いまこの時にこの作品に出会えたことは私にとって“いいタイミング”でした。
「包帯クラブ」の活動も、SNS等を使い、スピーディでよりワイドになるが、人々の心の根っこの部分は変わらないのだなぁと感じる。
成長したメンバーの姿を、また映像で観たいです。
ワラの助けを求めてくれてありがとう、という言葉は今だからこそ心に響きます。助けてと言えることは甘えではなく、弱さではないと教えてくれる今こそ世界に必要な物語です。