1907-73年。神奈川県生まれ。26年、慶応大学に進学し、仏文科に進んだ後、国文科に転科する。在学中はフランス・モラリストに親しむ一方で、「心理小説」の作家に熱中する。38年、亡妻との生活を描いた「妻」を発表し、作家となる。翌年、雑誌「スタイル」の編集者で、作家でもあった宇野千代と結婚したが、64年に離婚する。主な作品として「桜ホテル」「マタイ伝」「魔に憑かれて」「雅歌」「空隙」「霧雨」「情人」「黄昏」などのほか、『文学論集』(正・続)も発表し、評論家・エッセイストとしても活躍した。没後に『北原武夫文学全集』(全5巻)が刊行された。