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文章に即して古典を読む

『竹取物語』冒頭を読む(その1)

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●(補足)

 係り結びとは何かを問いはじめてみて、実はその意味がほとんどの明らかにされていないことに改めて驚いた。その中で出会った小松英雄氏の『日本語の歴史』(笠間書院 2001年)は、とても興味深かった。小松氏は係助詞「なむ」について次のように述べている。

 係助詞ナムの機能は、ココデ大キク切ルヨ、という予告である。したがって、そのあとは、話題が転換するか、短い補足がそれに続くか、さもなければ、そこでディスコースが途切れている。

 この考えで行くならば、「名をば、讃岐の造となむいひける。」は導入部の終わりとして、言い換えればこの後から事件がはじまることを示すということで、係助詞「なむ」の意味がうまく説明できる。ただ、「その竹の中に、もと光る竹なむ一筋ありける。」で「大キク切ル」という意味はうまく説明できないように思われるのだが……。

 係り結びは古典文法の基本中の基本と思っていたのだが、実はそれすら満足に読んでいなかったのだと、今更ながらに自らの不勉強を恥じ入るばかりである。

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