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筑摩選書

天皇たちの寺社戦略

——法隆寺・薬師寺・伊勢神宮にみる三極構造

血統を可視化した建物配置の秘密に迫る

古代の天皇が建立した社寺建築は血統を可視化したものだった。法隆寺・薬師寺・伊勢神宮の伽藍配置の三極構造に秘められた天智・天武・持統天皇らの戦略を探る。

定価

2,310

(10%税込)
ISBN

978-4-480-01807-6

Cコード

0321

整理番号

289

2024/10/15

判型

四六判

ページ数

416

解説

内容紹介

古代の天皇たちが建立した社寺建築は天皇の血筋を可視化し、即位の正統性を強くアピールしていた。社寺建築の配置タイプは天皇たちの血筋に明確に対応していたのだ。聖徳太子創建の法隆寺若草伽藍は塔と金堂がタテ一列だったが、天智天皇はこれを真っ向から否定し、塔と金堂がヨコに並ぶ法隆寺西院伽藍を建立。一方、天武天皇は三極構造の薬師寺を建立し、その妻持統天皇は三極構造を伊勢神宮の社殿配置に導入した。〈タテ→ヨコ→三極〉の変遷に秘められた天皇たちの戦略を探る。

目次

はじめに――問われなかった四つの視点

プロローグ 謎めく二つの法隆寺

第I部 法隆寺は二つあった
第一章 塔の礎石が庭石に
第二章 法隆寺再建・非再建論争があった
第三章 何から何まで対照的な二つの法隆寺
第四章 〈太子を拝む寺〉への大転換
第五章 なぜ法隆寺だけ中門の真ん中に柱が立つのか

第II部 伊勢神宮と薬師寺は車の両輪
第六章 神宮・神明造り・アマテラスは同時に成立した
第七章 神話が予告する
第八章 古を未来に届ける式年遷宮
第九章 薬師寺から伊勢神宮へ
第十章 伊勢神宮に転移した三極

第III部 皇統を定めた三極構造
第十一章 建築群の配置に託されたもの
第十二章 血のながれを加速させて本流に
第十三章 三極の成り立ちと意味
終章 時間の中の三極

エピローグ 三極構造は未来に向かう

読む年表
参考文献
書き終えて今、思うこと
謝辞

著作者プロフィール

武澤秀一

( たけざわ・しゅういち )

武澤 秀一(たけざわ・しゅういち):1947年生まれ。建築家/博士(工学・東京大学)。東京大学工学部建築学科卒業。同大学院工学研究科修士課程(建築学専攻)中退、同大学助手。その後、設計事務所を主宰。神社仏閣などの建築空間を通しての日本人の心のありようの探究がライフワーク。著書『持統天皇と男系継承の起源』『建築から見た日本古代史』『法隆寺の謎を解く』『伊勢神宮の謎を解く』(以上、ちくま新書)、『神社霊場ルーツをめぐる』(光文社新書)、『マンダラの謎を解く』(講談社現代新書)など。

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