戸井田道三
( といだ・みちぞう )戸井田道三(といだ・みちぞう):1909-88 東京都生まれ。早稲田大学卒業。天皇制と能楽の関係を説いた『能芸論』を上梓、民俗学、人類学を援用した能や狂言の考察で知られた。1954年より毎日新聞の能評を担当、のち映画評もおこなった。著書に『日本人のかみさま』、『観阿弥と世阿弥』、『きものの思想』(第17回日本エッセイスト・クラブ賞受賞)などがある。
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人間はなぜ忘れるのだろう?忘れることには、一体どんな意味があるのか?「老来、忘れっぽくなった、その腹いせに“忘れ”を俎上にのせてまじまじと見てやろう」という著者が、今までとかく無視されがちだった“忘れ現象”に独自の光を当てて、人間が人間であることの意味を深く見つめる、洒脱な哲学的エッセイ。
序章 記憶のヒキダシ型とマリモ型
記憶とブラック・ホール
忘却の空白と糸
空間感覚の成り立ちかた
喪失した自分
〈忘れ〉と自由な構想
忘れた何かが呼んでいる
身のたけにあった言葉で
丈夫すぎるのもよくない
傘を忘れること
発掘された安万侶墓誌
山の神まつりのひながた
終章 あるかなきかの煙
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