吉見俊哉
( よしみ・しゅんや )一九五七年生まれ。東京大学大学院情報学環教授。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。専門は社会学・文化研究。著書『夢の原子力』(ちくま新書)、『ポスト戦後社会』『親米と反米』『大学とは何か』『トランプのアメリカに住む』(以上、岩波新書)、『「文系学部廃止」の衝撃』『大予言』『戦後と災後の間』(以上、集英社新書)、『天皇とアメリカ』(集英社新書、テッサ・モーリス‐スズキとの共著)など多数。
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高度成長の頂点を象徴する大阪万博から数え、二〇〇五年の愛知万博は日本で開催される五度目の万国博覧会である。その間、万博は一貫して、豊かさへの大衆的な欲望と国家の開発主義政策との癒着を可能にする仕掛け―万博幻想―として機能してきた。本書は、こうした「幻想」を広く長く作用させてきた「政治」の場としての万博の内実とその行く末を、国家と地方行政、財界、知識人そして大衆の間に繰り広げられるせめぎ合いに焦点を当てることで浮き彫りにする試みである。
序章 戦後政治と万博幻想
第1章 成長のシンボルとしての万博―東京五輪から大阪万博へ
第2章 沖縄海洋博という分身―「本土復帰」と万博幻想
第3章 学園都市と科学万博―つくば科学博と幻想のほころび
第4章 Beyond Development―愛知万博の転変と選択
終章 万博幻想と市民政治
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