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ちくま新書

投資で変わる日本経済

——「アマチュア資本主義」を活かす途

日本は資本主義の落第生なのか?

日本は資本主義の落第生なのか? 「失われた30年」と呼ばれる停滞の要因をデータで検証。デジタル化や人材投資の必要性を説き、閉塞状況からの脱却を模索する。

定価

968

(10%税込)
ISBN

978-4-480-07657-1

Cコード

0233

整理番号

0

2024/11/06

判型

新書判

ページ数

240

解説

内容紹介

賃金が上がらない。ハンコがないと書類も回せない。停滞から30年も抜け出せない。日本は資本主義の落第生なのか?││新型コロナウイルス感染拡大によって、日本経済の脆弱さが浮き彫りになったが、それはバブル崩壊以降、問題を先送りし続けてきた当然の帰結だ。長期停滞の原因は日本の「アマチュアな資本主義」であるとし、データで検証。さらにデジタル化や人材育成への投資の必要性を説き、日本らしさを活かした非市場的な「豊かさ」への新たなアプローチを模索する。日本経済の閉塞感を打ち破るための一冊。

目次

はじめに  
序 章 日本は資本主義の落第生なのか?  
日本は資本主義経済の落第生か?/市場と資本主義/資本主義の類型とは?/「プロフェッショナル資本主義」と「アマチュア資本主義」/「資本」の捉え方/「投資」と「資本」の関係は?/ジョーン・ロビンソンの資本論/日本は資本不足?/見えざる資産の存在/広がる「資本」の範囲/投資なくして「豊かさ」なし

Ⅰ 投資なき長期停滞  
第1章 なぜコロナ前を容易に超えられなかったのか?  
コロナ禍における三年間の総括/マクロ経済面の国際比較/リーマン・ショックとの比較/コロナ禍がもたらした産業間の格差/もうコロナ前には戻れない?/デフレからインフレへ/供給サイド重視の政策への転換

第2章 なぜ長期停滞から抜け出せなかったのか?  
「失われた三〇年」/平成の長期停滞/投資と貯蓄/マイナスの実質利子率/投資不足はなぜ起きたのか?/実証分析は、投資の停滞を説明できたのか?/「アマチュア資本主義」での投資決定/いったい何が「失われた」のか?/供給力低下の要因/日本の「ベスト・アンド・ブライテスト」/日本版金融危機の後遺症

第3章 なぜ「アマチュア資本主義」を続けるのか?  
停滞は貧困化願望のせいか?/「プロフェッショナル資本主義」の特徴/「合成の誤謬」からの解釈/他力本願の行動原理/経済学や資本主義への不信/開発独裁からの転換は可能か?/日本は小さな「ムラ」社会の集合体/個人と「ムラ」/「ムラ」の功罪/「ムラ」の決定原理と「アマチュア資本主義」/従来型「アマチュア資本主義」の限界

Ⅱ 日本経済の選択肢  
第4章 デジタル化なくして前進なし  
ICT革命とデジタル化/デジタル化の系譜/デジタル化の遅れがもたらすもの/日本のデジタル化の国際的評価/生産面からの比較/投資面から見たデジタル化/ソフトウェアの利用方法の変化/ICT投資と生産性/ICT設備の価格は国際的に均等か?/なぜ日本ではデジタル化が進まないのか?/テレワークの進展/公的分野でのデジタル化を

第5章 人材投資の復権  
なぜいま人材育成なのか?/人的資本の概念/マクロレベルの人材育成投資の動向/人材投資の国際比較/人材投資の補完効果/コロナ禍で人材育成は変わったのか/コロナ禍前後のOJT、Off-JTの比較/新規投資と研修/行動制限の解除で、人材育成は変わったか/調査結果をもとにした人的資本の推計値/プロの人材を目指して

第6章 「アマチュア資本主義」2.0  
揺れる日本の「豊かさ」/市場経済と非市場経済/「豊かさ」への様々なアプローチ/ジョーンズ= クレノウによるアプローチ/国際機関が発表する「豊かさ」の指標/日本における「豊かさ」または「幸福感」の研究/「資本アプローチ」/「資本アプローチ」と「社会的共通資本」/どのアプローチを目指すべきか/「豊かな」社会への選択

あとがき  
参考文献  

著作者プロフィール

宮川努

( みやがわ・つとむ )

宮川 努(みやがわ・つとむ):1956年生まれ。学習院大学教授。東京大学経済学部卒業。一橋大学博士(経済学)。専門はマクロ経済学、国際マクロ経済学、日本経済論。著書に『日本経済の生産性革新』(日本経済新聞社)、『長期停滞の経済学』(東京大学出版会)、『インタンジブルズ・エコノミー――無形資産投資と日本の生産性向上』(共編、東京大学出版会)、『生産性とは何か――日本経済の活力を問いなおす』(ちくま新書)、『コロナショックの経済学』(編著、中央経済社)などがある。

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