紀田順一郎
( きだ・じゅんいちろう )1935年横浜市に生まれる。慶應大学経済学部卒。文芸評論家、作家。『乱歩彷徨』『幻想怪奇譚の世界』『東京の下層社会』など著書、『M・R・ジェイムズ怪談全集』など編訳書多数がある。『幻想と怪奇の時代』で2008年度日本推理作家協会賞受賞。
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駆け足の近代化と富国強兵を国是とする日本の近代は、必然的に社会経済的な弱者―極貧階層を生み出した。しかし、多くの日本人はそれを形式的な慈善の対象として認識するのがせいぜいで、社会的存在として見据えようとせず、本質的には彼らを「落伍者」「怠け者」として切り捨ててきた。スラムの惨状、もらい子殺し、娼妓に対する恐るべき搾取、女工の凄惨な労働と虐待…。張りぼての繁栄の陰で、疎外され、忘れ去られた都市の下層民たちの実態を探り、いまなお日本人の意識の根底にある弱者への認識の未熟さと社会観のゆがみを焙り出す。
最暗黒の東京探訪記
人間生活最後の墜落
東京残飯地帯ルポ
流民の都市
暗渠からの泣き声
娼婦脱出記
帝都魔窟物語
糸を紡ぐ「籠の鳥」たち
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