松浦寿輝
( まつうら・ひさき )1954年、東京生まれ。1980年、東京大学大学院仏語仏文学専攻修士課程修了。現在、東京大学大学院総合文化研究科教授(表象文化論)。詩人、作家、映画評論家でもある。2000年、『花腐し』(講談社)で第123回芥川賞受賞。著書に『表象と倒錯』『エッフェル塔試論』『ゴダール』『Y・死・閾』『映画1+1』(筑摩書房)、『半島』(文藝春秋)、『物質と記憶』(思潮社)、『官能の哲学』(岩波書店)、『冬の本』(青土社)など。
loading...
主著『死者の書』に代表される折口の幻惑的な世界。著者は「ふと折口みたいな文章が書けたらと夢見てしまう心の弱さを自分の中で力まかせに抑圧してしまうことをせず…折口の言葉そのものの中で折口から遠ざかろうと努める」(本書後記)という姿勢でその世界に挑む。それにより古典的な伝記研究とは一線を画し、折口作品そのものを読み解き、作品と密着した批評の言葉を発生させることで、他の折口論にはない本書固有の表現を勝ち得た。特異な言葉の魅力を具えた折口と、詩・映画評論でも才を発揮する芥川賞作家との深遠なる闘い。そこから評論を超えた言語空間が生まれる。第9回三島由紀夫賞受賞作。
1 音の訪
2 喪の裳
3 襲と褥
4 石と忌
5 擬と移
6 死の贄
補論 不在の殻―折口信夫の戦後
本書をお読みになったご意見・ご感想などをお寄せください。
投稿されたお客様の声は、弊社HP、また新聞・雑誌広告などに掲載させていただくことがございます。