多木浩二
( たき・こうじ )1928年神戸生まれ。東京大学文学部美学美術史学科卒業。元東京造形大学教授、元千葉大学教授。専攻は芸術学、記号論。現代文化の諸問題を多角的に哲学する思想家として知られる。著書に『スポーツを考える』(筑摩書房)、『肖像写真』『「もの」の詩学』『天皇の肖像』(岩波書店)、『欲望の修辞学』『死の鏡』(青土社)など。
loading...
見ること、それは「もの」を知覚すること。視線を意識することは「もの」自体にも作用し私たちの認識に影響を及ぼす。例えば我々は道路に描かれた平行線を手がかりに距離を知覚する。これは絵画の遠近法の影響であり、ひいてはこの知覚に基づき街が造られるようになった。本書は視覚的表現や事物と、人間の関係についての考察。あらゆる表現物に刻み込まれた人々の様態を丹念に読み取り、言語化できない無意識な視線を介して世界を見る方法を提示する。またその無意識の世界が、我々の文化の地層を変えていく様相を丹念に語る。思想・美術など幅広い分野に足跡を残す著者の代表作。
1 イメージの交通―象徴と地理的空間
2 人形の家―理性と遊戯性/経験の空間性
3 趣味のユートピア―カタログの両義性
4 視線の政治学―眼の隠喩/視線の破砕
5 ブルジョワジーの肖像―ある時代の神話
6 測定する視線―十九世紀的「知」の断面
7 王の寝台―権力の舞台
8 椅子の身体論―儀礼と快楽
9 メトロポリスの神話学―虚構としての視線
本書をお読みになったご意見・ご感想などをお寄せください。
投稿されたお客様の声は、弊社HP、また新聞・雑誌広告などに掲載させていただくことがございます。