鷲田清一
( わしだ・きよかず )1949年、京都市生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。大阪大学総長などを経て、現在は京都市立芸術大学理事長・学長、せんだいメディアテーク館長。専門は哲学。現象学をベースに、臨床哲学、モード批評などを幅広く展開する。主な著書に『モードの迷宮』(ちくま学芸文庫、サントリー学芸賞)、『「ぐずぐず」の理由』(読売文学賞)、『「待つ」ということ』(以上、角川選書)、『〈ひと〉の現象学』(筑摩書房)、『哲学の使い方』(岩波新書)などがある。
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わたしたちは何によって“ひと”として生まれ、どういう理由で「あのひとらしい」と言われ、どのようにしてときにその権利が擁護され、ときに糾弾され、やがて“ひと”として消えていくのだろうか―。他者=「顔」との遭遇、愛憎という確執、個としての自由から、市民性・多様性、死など。“ひと”をめぐる出来事には常に、知覚、自己意識、理性、権利と契約、道徳と倫理といった哲学の主題が伴走する。本書はそうした問いの数々をゆるやかに開かれたまま差しだし、共鳴し連鎖する思考を展開していく。待望の文庫化。
はじめに “ひと”の現象学
1 顔―存在の先触れ
2 こころ―しるしの交換
3 親しみ―家族という磁場
4 恋―「この人」、あるいは情調の曲折
5 私的なもの―所有の逆説
6 “個”―自由の隘路
7 シヴィル―市民が「市民」になるとき
8 ワン・オブ・ゼム―「多様性」という名のアパルトヘイト
9 ヒューマン―「人間的」であるということ
10 死―自然と非自然、あるいは死の人称
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