久世光彦
( くぜ・てるひこ )東京生まれ。東京大学文学部美学科卒業。演出家、プロデューサーとして「寺内貫太郎一家」、「時間ですよ」などテレビ史に残る数多くのドラマを制作した。92年「女正月」他の演出により芸術選奨文部大臣質を受賞。作家活動としては94年『一九三四年冬一乱歩」で山本周五郎賞、97年『聖なる春」で芸術選奨文学部門文部大臣賞、98年紫綬褒章など数々の賞を受賞。他に『美の死』『むかし卓稚台があったころ』Fへのへの夢二』『百聞先牡月を踏む』など多数。
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「一冊の本を読むことは、一人の女と寝ることに似ている―外見だの評判だのは、むろん当てにならない。女は寝てみなければわからない」とは、著者久世光彦の言葉だが、言いえて妙である。稀代の本読みが心を震わせる本と、三島由紀夫、江藤淳、吉行淳之介、保田與重郎、太宰治など思いを寄せる作家に熱く迫る。
女の“片腕”との対話―川端康成「片腕」
いつもの時刻―内田百閒「サラサーテの盤」
桜色の恋物語―川上弘美「春立つ」
キイ・ワードは“小”―川口松太郎「櫓太鼓」
葉子―大岡昇平「花影」
死への眼差し―清岡卓行「海の瞳」
蛍は三度現れる―織田作之助「蛍」
老いてなお―岡本かの子「老妓抄」
“感傷”の大旗―福永武彦「草の花」
空の花篭―渡辺温「温哀相な姉」〔ほか〕
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