本田靖春
( ほんだ・やすはる )1933年、朝鮮に生まれる。55年、早稲田大学政経学部新聞学科卒業後、読売新聞社に入社、社会部記者、ニューヨーク特派員などを経て、71年退社。64年には、売血の実態を告発し、現在の100%献血制度のきっかけとなった「黄色い血」キャンペーンを展開する。77年、『誘拐』で文藝春秋読者賞、講談社出版文化賞受賞、84年、『不当逮捕』で講談社ノンフィクション賞受賞。2004年死去。『我、拗ね者として生涯を閉ず』が遺作となる。
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戦後、渋谷の盛り場に、花形敬という男がいた。インテリヤクザ安藤組の大幹部で、あの力道山よりも喧嘩が強いといわれた男。うちに虎を飼い、心に抱えた屈託を暴力という形でしか表わせなかった男。一般人とアウトローを分ける境界線などなかった戦後の焼け跡で、己の腕一本を頼りにのしあがった男の光と影を、時代の空気とともに切り取ったノンフィクション。
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