内容紹介

報告(宮澤賢治) 足跡(吉田健一) 改暦弁(福沢諭吉) 精神分析について(フロイト) 数学上の発見(ポアンカレ) 知魚楽(湯川秀樹)など26篇

目次

報告(宮澤賢治)
シャボン玉(J.コクトー)
「わが生いたち」より(佐藤春夫)
まんじゅうの皮とあん(国分一太郎)
伊香保へ行って温泉に入ろう(山下清)
父と息子との対話(林達夫)
考えるだけでラジオを直す少年(ファインマン)
日常身辺の物理的諸問題(寺田寅彦)
立春の卵(中谷宇吉郎)
クシャミと太陽(緒方富雄)
科学的な暗殺者(ファーブル)
足跡(吉田健一)
世界の果てへ(T・クローバー)
改暦弁(福澤諭吉)
一八七七年の日本(モース)
神々の国の首都(小泉八雲)
歯固め(戸井田道三)
地面の底がぬけたんです(藤本とし)
水源に向かって歩く(遠山啓)
倉田百三氏の体験を中心に(森田正馬)
精神分析について(フロイト)
火と尊崇 プロメテウス・コンプレックス(バシュラール)
方法序論 第二部(デカルト)
数学上の発見(ポアンカレ)
ラムネ氏のこと(坂口安吾)
知魚楽(湯川秀樹)

著作者プロフィール

鶴見俊輔

( つるみ・しゅんすけ )

1922-2015年。哲学者。1942年、ハーヴァード大学哲学科卒。46年、丸山眞男らと「思想の科学」を創刊。65年、小田実らとベ平連を結成。2004年、大江健三郎らと「九条の会」呼びかけ人となる。著書に『アメリカ哲学』『限界芸術論』『アメノウズメ伝』などのほか、エッセイ、共著など多数。『鶴見俊輔集』全17巻もある。

安野光雅

( あんの・みつまさ )

安野 光雅(あんの・みつまさ):1926年島根県津和野生まれ。画家・絵本作家として、国際アンデルセン賞、ケイト・グリーナウェイ賞、紫綬褒章など多数受賞し、世界的に高い評価を得ている。主な著作に『ふしぎなえ』『ABCの本』『繪本平家物語』『繪本三國志』『片想い百人一首』などがある。2020年、逝去。

森毅

( もり・つよし)

1928年東京生まれ。東京大学数学科卒業。京都大学教養部教授を長く務める。著書に『まちがったっていいじゃないか』(ちくま文庫)、『数学の歴史』(講談社学術文庫)、『対談 数学大明神』(安野光雅氏と共著、ちくま学芸文庫)ほか多数。2010年7月逝去。

池内紀

( いけうち・おさむ)

1940年、兵庫県姫路市生まれ。ドイツ文学者。エッセイスト。主な著書に、『ウィーン・都市の詩学』(73年)、『諷刺の文学』(78年・亀井勝一郎賞)、『海山のあいだ』(94年・講談社エッセイ賞)、『見知らぬオトカム――辻まことの肖像』(97年)、『ゲーテさんこんばんは』(2001年・桑原武夫学芸賞)、『二列目の人生』(03年)、『ひとり旅は楽し』(04年)、『森の紳士録』(05年)、『池内紀の仕事場』(全8巻・04年-05年)など。主な訳書に、カネッティ『眩暈』(1972年)、ジュースキント『香水』(88年)、ロート『聖なる酔っ払いの伝説』(89年)、ゲーテ『ファウスト』(99年・毎日出版文化賞)、『カフカ小説全集』(全6巻・2000年-02年・日本翻訳文化賞)など。

宮沢賢治

( みやざわ・けんじ)

1896-1933。岩手県花巻市の生まれ。生家は古着・質商。盛岡の高等農林学校在学中に詩や散文の習作をはじめる。日蓮宗に深く帰依し、一時上京して布教生活を送る。帰郷後は農学校で教えつつ多くの詩や童話を書く。やがて農学校を退職、「羅須地人協会」をつくり、農民への献身の生活に入った。生前はほとんど無名のままに死去。病床のなかで手帳に綴ったのが「雨ニモマケズ」の詩。

佐藤春夫

( さとう・はるお)

和歌山県生まれ。1892-1964年、作家。著書に『秋刀魚の歌』、『都会の憂鬱』、『西班牙犬の家』、『極楽から来た』などがある。法然の教えを大切にし、浄土宗の篤実な信徒として過ごした。京都・知恩院、東京・伝通院、明石・無量光寺に墓がある。

吉田健一

( よしだ・けんいち)

1912~1977年。東京生まれ。吉田茂元首相を父とし、幼少期を、イギリス、中国などで過ごす。ケンブリッジ大学に学び、帰国後、文筆生活に入る。ヴァレリー、ロレンス等の翻訳、および文芸評論の分野で活躍し、自身も珠玉のエッセイや小説を多数残した。

中野好夫

( なかの・よしお)

1903-85年。英文学者、評論家、翻訳家。愛媛県松山市生まれ。東京帝国大学文学部卒。35年に東京帝国大学助教授、戦後に東京大学教授となるも、53年に辞任、雑誌「平和」の編集責任者となる。スタンフォード大学客員教授、中央大学文学部教授などを歴任。『シェイクスピアの面白さ』で毎日出版文化賞、『蘆花徳富健次郎』で大佛次郎賞をそれぞれ受賞。

福澤諭吉

( ふくざわ・ゆきち)

1835(天保5)年~1901(明治34)年。著述家、教育者。「時事新報」発行人。近代日本最大の啓蒙思想家。慶應義塾の創設に力を尽くした。著書に『学問のすすめ』『文明論之概略』『西洋事情』『福翁自伝』など多数がある。

石川欣一

( いしかわ・きんいち)

1895-1959年。東京帝国大学英文科中退、プリンストン大学卒業。 ジャーナリスト、翻訳家、随筆家。著書に『パイプをくはえて』、『可愛い山』、 訳書にモース『日本その日その日』、ブルックス『アメリカ文学史』(日本芸術院賞受賞)、チャーチル『第二次大戦回顧録』(共訳)ほか多数。

戸井田道三

( といだ・みちぞう)

戸井田道三(といだ・みちぞう):1909-88 東京都生まれ。早稲田大学卒業。天皇制と能楽の関係を説いた『能芸論』を上梓、民俗学、人類学を援用した能や狂言の考察で知られた。1954年より毎日新聞の能評を担当、のち映画評もおこなった。著書に『日本人のかみさま』、『観阿弥と世阿弥』、『きものの思想』(第17回日本エッセイスト・クラブ賞受賞)などがある。

遠山啓

( とおやま・ひらく)

1909-79年。熊本県生まれ。東京大学数学科に入学するも退学、のち東北大学数学科を卒業。海軍教授をへて東京工業大学教授。数学教育への関心から民間教育団体「数学教育協議会」を結成、長く委員長をつとめた。数学教育の理論と方法を開発・提唱し、その水道方式、量の理論などは、教育現場に大きな影響を与えた。著書に『無限と連続』『数学入門(上・下)』(以上、岩波新書)、『代数的構造』『現代数学入門』『代数入門』『微分と積分』(以上、ちくま学芸文庫M&S)、『競争原理を超えて』(太郎次郎社)などがある。教科書や雑誌の創刊にも多く関わった。

前田耕作

( まえだ・こうさく)

1933年生まれ。名古屋大学文学部卒。アフガニスタン文化研究所所長。東京藝術大学・帝京大学客員教授。2003年以来、爆破されたアフガニスタンのバーミヤン遺跡の保存・修復の事業にたずさわっている。著書に『巨像の風景』(中公新書)、『ディアナの森』(せりか書房)、『宗祖ゾロアスター』(ちくま学芸文庫)、『アジアの原像』(NHKブックス)、『玄奘三蔵、シルクロードを行く』(岩波新書)など、訳書にバシュラール『火の精神分析』、エリアーデ『イメージとシンボル』(以上せりか書房)、『子どもたちに語るヨーロッパ史』(監訳、ちくま学芸文庫)などがある。

ルネ・デカルト

( でかると,るね)

1596~1650年。フランス、トゥレーヌ州の法服貴族の家に生まれる。イエズス会系のラフレーシ学院でスコラ哲学や数学を、ポアティエ大学で法学と医学を学ぶ。欧州を転々としながら、科学者たちの知己を得、数学や光学の研究に携わる。1628年以降、オランダに移住。『省察』『哲学原理』などの著作を遺し、近代哲学の基礎を築いた。招聘先のストックホルムにて死去。

吉田洋一

( よしだ・よういち)

吉田 洋一(よしだ・よういち):1898年東京生まれ。1989年逝去。東京帝国大学理学部数学科卒業。第一高等学校教授、東京帝国大学助教授、フランス留学を経て1930年北海道帝国大学教授。1949年立教大学理学部数学科教授。著書:『零の発見』、『微分積分学序説』他多数。M&Sでも『微分積分学』、『ルベグ積分』、『数学序説』(娘婿の赤摂也と共著)を収録。

坂口安吾

( さかぐち・あんご)

1906-1955。新潟市の生まれ。本名は炳五。中学を放校されて上京、東洋大でインド哲学、アテネ・フランセでフランス文学を学ぶ。「木枯の酒倉から」「風博士」によって、一部の注目をあびる。戦争中は「日本文化私観」「青春論」などの卓抜なエッセイを書きつづけ、戦後、「白痴」「堕落論」で一挙に世に出た。独特の発想と視点をもった文明批評や、「不連続殺人事件」などの探偵小説もある。

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