津原泰水
( つはら・やすみ )1964年広島市生まれ。89年より津原やすみ名義で少女小説を多数発表。97年現名義にて『妖都』を発表。以後、本書から『ピカルディの薔薇』『猫ノ眼時計』へと至る〈幽明志怪〉シリーズや『綺譚集』『少年トレチア』などの幻想小説で人気を博す。2012年には短篇集『11 eleven』で第2回Twitter文学賞国内部門1位を獲得。他の著書にベストセラーとなった『ブラバン』、本格SF『バレエ・メカニック』、尾崎翠の映画案を小説化した『琉璃玉の耳輪』などがある。
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三十路を過ぎて定職につけずにいる「おれ」こと猿渡が、小説家の「伯爵」と意気投合するに至った理由は、豆腐。名物を求め津々浦々を彷徨う二人に襲いかかる奇怪な現象。蘆屋道満の末裔が統べる聚落、闇夜に出没する赤い顔の巨人、蟲食う青年、そして湖の水牛。幽明の境に立たされた伯爵の推理と猿渡の悲喜劇の果てに現出する、この世ならぬ異景。書下ろし短篇を加えた完全版。
反曲隧道
蘆屋家の崩壊
猫背の女
カルキノス
ケルベロス
埋葬蟲
奈々村女史の犯罪
水牛群
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