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ちくま文庫

玉の井という街があった

私娼窟から赤線地帯へ 昭和最大のラビリンス

永井荷風「(ぼく)(「ぼく」は「さんずい「に「墨」)東綺譚」に描かれた私娼窟・玉の井。しかし、その実態は知られていない。同時代を過ごした著者による、貴重な記録である。

定価

880

(10%税込)
ISBN

978-4-480-43281-0

Cコード

0136

整理番号

-49-1

2015/07/08

判型

文庫判

ページ数

272

解説

内容紹介

永井荷風「(ぼく)(「ぼく」は「さんずい「に「墨」)東綺譚」で知られる玉の井。関東大震災後に私娼窟を形成するが、東京大空襲によって灰燼に帰した。戦後は赤線地帯となって甦るも、売春防止法施行によって1958(昭和33)年3月31日最後の日を迎えた。しかし、その実態はほとんど伝えられていない。本書は同時代に生きた著者が、自らの体験と取材をもとに、人と街の姿を書き残した貴重な記録である。

目次

暗い青春
私娼窟玉の井の誕生
魔の迷路/娼家の構造
下駄をはかせぬ病院/迷路を泳ぐ名士たち
解放はありがた迷惑
『(ぼく)(「ぼく」は「さんずい「に「墨」)東綺譚』の周辺
奇縁ずくめの荷風と高見順
本所に多かった私娼/玉の井娼婦の生態
主役は東武電車/太宰治と菊谷栄のこと
エノケンと花電車/誰も知らない小林多喜二
玉の井名物、交番 風呂屋さん お稲荷さん
玉の井と犯罪
始祖バラバラ事件
華やかでやがて淋しい終焉
新興鳩の街繁盛記

著作者プロフィール

前田豊

( まえだ・ゆたか )

1912(明治45)年東京市本所区番場町(現・墨田区本所)で生まれる。東京府立第三中学(現・両国高校)をへて、演劇活動に参加。松竹ニューフェイスや興信所勤務も経験する。「長谷川伸の会」「新鷹会」の会員となり『大衆文芸』誌に小説を発表。1969(昭和44)年に「川の終り」で第35回オール讀物新人賞を受賞。1990(平成2)年死去。

この本への感想

永井荷風の本を読んでいるうちにこの本に出会った。
この時代に生きていたわけではないが、この時代の雰囲気から(今から見たら)異様とも言える日常の様子を垣間見ることができた。それにしても、作者がダンディでかっこいい。

たけちゃん

さん
update: 2015/08/29
実家が下町ということもあり、手にとってみました。
「古き良き時代」では片付けられない混沌としたこの時代を、実際にこの時代に生きた方の目線から書かれており、息遣いが聞こえてくるようでした。とても興味深く読ませて頂きました。

まこ

さん
update: 2015/08/10
東京スカイツリーで賑わう下町の、かつての粋な世界を垣間見ることのできるとても情緒のある本です。歴史的価値のある本であることは間違いないと思います。永井荷風の濹東綺譚や断腸亭日乗の世界に紛れ込んだような錯覚に陥ります。
本一冊でタイムスリップができます。

茶太郎

さん
update: 2015/08/01
東京下町に実在したという「玉の井」の歴史的価値の非常に高い作品だと思います。非常に読みやすく、素晴らしい本でした。映画化されたらおもしろいかもしれません!

せいちゃん

さん
update: 2015/07/21

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