諏訪哲史
( すわ・てつし )諏訪 哲史(すわ・てつし):小説家・批評家・随筆家。1969年名古屋市生まれ。國學院大學文学部哲学科卒業。独文学者の種村季弘、美学者の谷川渥に師事。2007年に小説『アサッテの人』で群像新人文学賞・芥川賞を受賞。他の小説に『りすん』『ロンバルディア遠景』『岩塩の女王』『昏色の都』。また文学批評集に『偏愛蔵書室』『紋章と時間──諏訪哲史文学芸術論集』、エッセー集に『スワ氏文集』『うたかたの日々』『スットン経』、編著に『驚異の函──種村季弘コレクション』などがある。
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哀れな四肢欠損の少女らの蠢く闇夜の花電車(「市民薄暮」)、宝石の光沢を帯びる少年期の記憶の腫瘍(「真珠譚」)、途方もない全長で人を行き惑わせる冥府的地下街(「中央駅地底街」)……目も眩むような幻覚的イメージ、言葉の形象と韻律がいざなう迷宮的幻想小説集。現実と夢、記憶と幻視、揺籃期の故郷と見も知らぬ異国とが、鮮烈に錯綜し切り結ぶ、一度読んだら忘れられぬ10の麻薬的桃源郷を、山下陽子のコラージュ作品とともに。
シャトー・ドゥ・ノワゼにて
尿 意
市民薄暮
真珠譚
百貨店残影
聖家族学園
甘露経
湖中天
中央駅地底街
先カンブリア
あとがき
文庫版あとがき
解説 来るべき小説――『領土』の衝撃 富岡幸一郎
解説 『領土』復権の義 山尾悠子
文芸評論家
作家