山上浩嗣
( やまじょう・ひろつぐ )山上浩嗣(やまじょう・ひろつぐ):1966年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。パリ・ソルボンヌ大学にて文学博士号。現在、大阪大学大学院文学研究科教授。専門はフランス文学・思想。著訳書に、『パスカルと身体の生』『パスカル『パンセ』を楽しむ』、アントワーヌ・コンパニョン『寝るまえ5分のモンテーニュ 「エセー」入門』(共訳)、エティエンヌ・ド・ラ・ボエシ『自発的隷従論』など。
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宗教戦争のさなか、通念や世間の道徳に懐疑の目を向けつつ、自然に従って生きることの喜びを説いたモンテーニュ。その著『エセー』では、自己の判断力を試し鍛えていくさまが、自由な文体によって描き出される。異文化への関心と共感、戦時における人間の狂気や暴力、性の歓び、ボルドー市長としての政治経験、旅と読書の愉楽など、扱われるテーマは実に幅広く、われわれの心を揺さぶる文章に充ちている。ストア的克己主義と節度ある快楽主義とを往還し、メメント・モリの受容から拒否へと至る過程で、独自な思想が紡がれていく。類まれな開明的人物の核心に迫る出色の講義。文庫オリジナル。
第1章 「今日は何もしなかった」―『エセー』に見るモンテーニュの脱力的生きかた
第2章 『エセー』における死と幸福―「想像」による幸福、メメント・モリ
第3章 モンテーニュのパイデイア―旅と書物による「判断」の形成
第4章 他者へのまなざし―新大陸の原住民
第5章 モンテーニュとラ・ボエシの友愛論
第6章 モンテーニュの政治観―乱世における法と秩序
第7章 身体の経験―老、病、性
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