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ちくまプリマー新書

生きのびるための流域思考

上流で大雨……ここは降っていなくても危険!

予想以上の雨が日本列島を襲っている。頭上の雨だけでは水土砂災害は分からない。雨は流域で集められ、災害を引き起こす。いまこそ、流域思考を身に着けよう!

定価

990

(10%税込)
ISBN

978-4-480-68405-9

Cコード

0225

整理番号

378

2021/07/06

判型

新書判

ページ数

240

解説

内容紹介

上流で大雨……
ここは降っていなくても危険!

頭上の雨だけを見ていても水土砂災害は分からない。雨は「流域」で集められ、災害を引き起こすからだ。身を守るために、予想以上の雨が日本列島を襲っている今こそ「流域思考」を身に着けよう!

「流域思考」とは?
雨の水を川に変換する大地の構造のことを「流域」と呼びます。豪雨が引き起こす水土砂災害は、大小のスケールにかかわらず、「流域」という地形や生態系が引き起こす現象です。日本の利用可能な土地はほぼ河川の流域に属しており、流域は行政区域に関係なく広がっています。行政によるハザードマップだけではなく、この「流域」を枠組みとした「流域思考」を知ることで、豪雨による災害にきちんと備えることができるようになるのです。

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近年、水土砂災害が急増した第一の理由は、強い雨が増えていることです。これからの50年、100年、200年にも及ぶ深刻な地球温暖化の表れだという意見も有力です。現状は、数十年間隔の気象変動のレベルという解釈も完全に否定されているわけではありませんが、いずれにしても、ここ10年の動きを見ていると、今までの常識では対応できない豪雨が増えていることは事実です。
この傾向はこれからも続くと考えておくべきでしょう。わたしたちは、すでに温暖化豪雨時代の入り口にいるのかもしれない。そう判断し、対応していくほかないと、思われます。
ところが、現状はその緊急事態とも言える状況に、社会が長きにわたり、適切に対応できずにきたのです。一般社会のレベルだけでなく、報道や自治体のレベルでも同じことが言えるのです。
――「長いまえがき〈なぜいまこの本を出版するのか〉」より

目次

長いまえがき〈なぜいまこの本を出版するのか〉

第1章 流域とはなにか
1 流域の基本構造
2 流域の水循環機能
3 「流域」の機能を理解するための基礎知識
4 流域治水の時代がやってきた

第2章 鶴見川流域で行われてきた総合治水
1 鶴見川では流域治水が四十一年前から
2 目に見える成果が出た
3 総合治水を応援する市民や企業が登場
4 流域開発への対応から温暖化未来への挑戦
5 総合治水の流域拠点探検隊
6 流域治水はこれからどんな道を歩むのか

第3章 持続可能な暮らしを実現するために
1 生命圏再適応という課題
2 さらに先の未来を考える
3 鶴見川流域での三つの実践

あとがき

著作者プロフィール

岸由二

( きし・ゆうじ )

岸 由二(きし・ゆうじ):1947年生まれ。横浜市立大学生物科卒業。東京都立大学理学部博士課程修了。慶應大学名誉教授。進化生態学。流域アプローチによる都市再生に注力し、鶴見川流域、多摩三浦丘陵などで実践活動を推進中。NPO法人鶴見川流域ネットワーキング、NPO法人小網代野外活動調整会議、NPO法人鶴見川源流ネットワークで代表理事。著書に『自然へのまなざし』(紀伊國屋書店)『流域地図の作り方』(ちくまプリマー新書)。訳書にウィルソン『人間の本性について』(ちくま学芸文庫)、共訳にドーキンス『利己的遺伝子』(紀伊國屋書店)など。

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