野々井透
( ののい・とう )野々井透(ののい・とう):1979年、東京都生まれ。
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太宰賞受賞作「棕櫚を燃やす」に、書き下ろし「らくだの掌」を加えて単行本化。
●棕櫚を燃やす
なにかが父に巣くって、父の体をゆっくりと壊してゆく――。三十四歳の春野と、五歳年下の妹・澄香と父は、東京の庭付きの家に三人で暮らしている。姉妹は家を出たいとも思わず、たまに転職をしながら、父と三人のここちよい世界を築いてきた。その父の体内に何かが棲み、余命一年であるという。春野と澄香は毎日をあまさず暮らそうと約束する。どうしようもなく変わってしまう関係とその戸惑い。危うい均衡を保ちながらも喪失へと向かう日々を、繊細に描き出す。(130枚)
●らくだの掌
最近、会社の人の様子がおかしい。隣の席の並木さんが放浪のたびに出た頃からだ――。地域の身寄りのない人や、不審人物の様子伺の仕事をしている私と、一風変わった先輩・並木との短い交流。(90枚)
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