高井有一
( たかい・ゆういち )1931(昭和7)年東京生まれ。小説家。早稲田大学文学部卒業。55年から75年まで共同通信社文化部に勤務した。64年、立原正秋、加賀乙彦らとともに同人雑誌「犀」を創刊、その第4号(64年)に載せた「北の河」により第54回芥川賞を受けた。以後「少年たちの戦場」(68年)、「蟲たちの棲家」(73年)、「この国の空」(83年)等、作品のおよそ7割が、何等かの形で戦争に関はりを持つてゐる。ノンフィクションに傾いた作品としては、「夢の碑」(76年)、「真実の学校」(80年)、「塵の都に」(88年)、「立原正秋」(91年)、があり、「夜の蟻」(89年)と「愛日」(94年)は短篇連作の試みである。短篇はずつと書き続けて、「青梅」(80年)、「俄瀧」(84年)等にまとめた。最近作は「時の潮」(2002年)。(著者近影:坂本真典)