パオロ・マッツァリーノ 戯作者
教養・学術系の文庫には、小説・エッセイしか読まない一般人を拒むようなカタブツ感が漂います。読書時には詰め襟の学生服と制帽着用のこと、みたいなイメージが強いんです。
その点、ちくま学芸文庫は、お堅い系文庫の看板を掲げながらも、ノーネクタイにジャケットくらいで迎え入れてもらえそうな、ビストロっぽいカジュアル感があります。白を基調とした装丁も貢献してるのかも。
そういうわけで私は、普通の読書好きが読んでも楽しめるものを、何冊か選ばせてもらいました。難しい本は五分で投げ出す不埒な私が推すのですから、ウソ偽りはございません。
なかでもいち押しは、『戦争における「人殺し」の心理学』。剣呑なタイトルとは裏腹に、この本が教えてくれるのは、基本的に人は人を殺せないのだという事実です。第二次大戦でも南北戦争でも、八割がたの兵士は、敵をなるべく撃たないように行動していたそうです。人間不信からの回復剤として、ぜひ。
私がすすめる「ちくま学芸文庫」
- デーヴ・グロスマン著, 安原
和見 翻訳
『戦争における「人殺し」の心理学』
レム・コールハース 『錯乱のニューヨーク』
高階秀爾 『20世紀美術』
鈴木棠三 『江戸巷談 藤岡屋ばなし』
鈴木理生 『江戸の町は骨だらけ』