太宰治賞
第30回

2014/05/07

第30回太宰治賞受賞作が決定いたしました

2014年5月7日(水)午後5時30分から、第30回太宰治賞(筑摩書房・三鷹市共同主催)の選考委員会が、三鷹市「みたか井心亭(せいしんてい)」で開かれ、選考委員四氏(加藤典洋、小川洋子、荒川洋治、三浦しをん)による厳正な選考の結果、以下のように受賞作が決定しましたので、お知らせいたします。


第30回太宰治賞受賞作
「コンとアンジ」井鯉こま

【あらすじ】
異国を旅する十八歳の娘「コン」は、一緒に旅をしていた兄の彼女とはぐれ、さらに安宿で洗濯娘らしき少女にだまされて無一文になってしまう。
その状態から転がり出してたどりついたのは、外国人居留区の怪しげな貿易会社「マソン商会」。オーナーのマソンはコンを小僧と勘違い。そこから、性と年齢を偽る「ぼく」の生活が始まる。
マソン商会には、スナフキンみたいな帽子をかぶった先輩「アンジ」がおり、やがてコンはアンジと恋に落ちる。油断ならない同僚アフマドとマヌク、やたらコンを頼りにしてくる現地人女性ジェシカなど、様々な人間の意図が絡み合う中、コンとアンジは二人で旅立つことを決意するが――。言葉、そして性のボーダーを行き来しながら、濃密な文体で語られる異国の幻想恋愛冒険譚は、やがて切なく、力強いフィナーレへといたる。



著者略歴
井鯉こま(いこい・こま)
神奈川県在住
1979年生まれ、34歳、女性。東京外国語大学卒業。

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