戸谷由麻
( とたに・ゆま )戸谷 由麻(とたに・ゆま):カリフォルニア大学バークレー校歴史学部で博士号取得。現在、ハワイ大学歴史学部教授。著書『東京裁判「神話」の解体――パル、レーリンク、ウェブ三判事の相克』(共著、ちくま新書)、『東京裁判――第二次大戦後の法と正義の追求』(みすず書房)、『不確かな正義――BC級戦犯裁判の軌跡』(岩波書店)。
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1,870
円978-4-480-01777-2
0321
257
2023/06/14
四六判
272
頁東京裁判に関する概説書や学術論文は数多く刊行され、裁判論はすでに出尽くされたとの感がある。しかし、これまでの裁判論は主に政治・外交史を基調とし、法廷で適用された責任論や各被告人に対する判定の根拠を体系的に分析するものは数少ない。しかも従来の裁判論では、「日本無罪論」で知られるインド代表判事ラーダビノード・パルの個別反対意見や、オランダ代表判事B・V・A・レーリンクによる個別反対意見がもっぱら話題にされ、本来の東京判決である多数意見が軽視されてきた。その結果、東京判決そのものの実証研究は立ち遅れ、東京裁判を国際刑事裁判史のなかでどう評価するのかは、判決七五周年を迎える今でも未解決の研究課題である。このような状況をふまえ、東京裁判の事実認定がいかになされ、責任がどう問われたのかを実証的に解明し、東京裁判の功績と問題点を改めてあきらかにする。
第1章 裁判の歴史的文脈と枠組み
第2章 平和に対する犯罪の争点
第3章 日本政府組織論
第4章 戦争犯罪の争点
第5章 「東京判決」―多数派判事による判決
終章 今日の国際刑事裁判にみる責任論
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