太宰治
( だざい・おさむ )1909-1948。青森県北津軽郡の生まれ。本名津島修治。中学の頃より同人誌に習作を発表。旧制弘前高校から東大仏文科に進む。この間、左翼思想に傾倒。「魚服記」「思い出」でデビュー。戦中から戦後にかけて「ロマネスク」「富嶽百景」「お伽草子」「ヴィヨンの妻」など、次々と秀作を発表。流行作家としての栄光のさなかに自殺。
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戦争は敗れて終わった。太宰の文学の放つ妖しくなまなましい光芒は、戦後の人びとの眼にいっそう鮮明に映らずにはいなかった。彼は戦前においてすでに作家であった。終戦のとき、青森県金木の生家にいた太宰は、ただちに「パンドラの匣」を連載するとともに戦後の活動をはじめた。本巻には、その津軽疎開中に書いた全作品を収める。
パンドラの匣
薄明
庭
親という二字
嘘
貨幣
やんぬる哉
十五年間
未帰還の友に
苦悩の年鑑
チャンス
雀
たずねびと
男女同権
親友交歓
トカトントン
メリイクリスマス
ヴィヨンの妻
冬の花火
春の枯葉
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