野口武彦
( のぐち・たけひこ )1937年生まれ。元神戸大学教授。近世文学・近世思想史を専攻し、現在は文芸評論家。文学と歴史の境界領域を探る。『江戸の歴史家』『安政江戸地震』(ちくま学芸文庫)、『幕末バトル・ロワイヤル』(新潮新書)、『幕末歩兵隊』『長州戦争』(中公新書)、『近代日本の詩と史実』(中央公論新社)、『江戸は燃えているか』(文藝春秋)、『幕末気分』(講談社文庫)など著書多数。
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「忠臣蔵」事件とは一つのコードネームである。時代は元禄の末。歴史では赤穂事件といわれる江戸城内の刃傷・浅野内匠頭の切腹・その遺臣団の吉良邸討入りと続く一連の出来事は、やがて国民伝説にまでなった。事件は当初から文学化されて世間にひろまった。その文学性のオーラを取り払ったら、そこに何が見えてくるか。史実は時として文学よりも深い光を放つ。この一冊は史料から聞こえてくる元禄武士のなまの肉声を聞こうとする。
元禄十四年三月十四日
江戸と赤穂
城明渡し―一家離散―潜伏
元禄十五年十二月十四日
元禄十六年二月四日まで
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