吉見俊哉
( よしみ・しゅんや )一九五七年生まれ。東京大学大学院情報学環教授。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。専門は社会学・文化研究。著書『夢の原子力』(ちくま新書)、『ポスト戦後社会』『親米と反米』『大学とは何か』『トランプのアメリカに住む』(以上、岩波新書)、『「文系学部廃止」の衝撃』『大予言』『戦後と災後の間』(以上、集英社新書)、『天皇とアメリカ』(集英社新書、テッサ・モーリス‐スズキとの共著)など多数。
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二〇一一年三月一一日の原発事故の拡大で、私たちの「豊かな戦後」の終焉は決定的となった。この事件は、私たちが求めてきた経済成長の帰結として生じた事件である。戦後日本において、原子力はいつしか被爆の「恐怖」から成長の「希望」の対象へと変容し、夢と平和の象徴として受け入れられていく。大衆の日常と社会意識は、いかにしてこの明るい未来のスペクタクルを欲望し、受容したのだろうか?戦後日本の核受容を、「原子力的な陽光」の冷戦期から「放射能の雨」のポスト冷戦期への変遷の中にさぐる。
序章 放射能の雨アメリカの傘
第1章 電力という夢―革命と資本のあいだ(革命としての電気
電力を飼いならす
総力戦と発電国家)
第2章 原爆から原子力博へ(人類永遠の平和と繁栄へ
列島をめぐる原子力博
ヒロシマと原子力博
冷戦体制と「原子力の夢」)
第3章 ゴジラの戦後アトムの未来(原水爆と大衆的想像力
記憶としてのゴジラ
ゴジラの変貌とアトムの予言)
終章 原子力という冷戦の夢
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