若田部昌澄
( わかたべ・まさずみ )1965年神奈川県生まれ。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業、同大学院経済学研究科、トロント大学経済学大学院に学ぶ。現在、早稲田大学政治経済学術院教授。経済学史専攻。著書『危機の経済政策』(日本評論社、石橋湛山賞)、『「日銀デフレ」大不況』(講談社)など。(写真/左)
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長引くデフレ不況で「失われた20年」から未だに脱することのできない日本。この異常事態にもかかわらず「本当の経済の話」がなされていない。本質をとらえない議論がまかり通っているのだ。そこで経済学のエッセンスを「インセンティブ」「トレード・オフ」「トレード」「マネー」の四つに整理。よりよく生きるために必要な経済学の思考ツールの使い方を懇切丁寧に伝授する。わかりやすさに定評のある気鋭の経済学者と、シャープに切り込む評論家が展開する。知的でスリリングな対話式講義。
1 人はインセンティブに反応する(インセンティブは「飴と鞭」
歴史に見るインセンティブ
インセンティブ・ダークサイド
文壇と大相撲から考える「暗黙の共謀」)
2 トレード・オフ―あちらを立てればこちらが立たず(すべての道はトレード・オフに通じる
冷房を止めると死ぬ
財政危機で日本国家は破綻し年金は崩壊する!?
やっぱり経済成長が大事なワケ)
3 トレードが人々を結びつける(そろそろTPPについて本当の話をしよう
ほとんど何にでも市場はある
天才も凡人もお互いを必要としている
TPPは怖くない)
4 マネー―天下の回りものか諸悪の根源か(先立つものはおカネ
経済学で一番大事なことは金本位制が教えてくれた
ユーロ危機から金融政策は見えてくる
日銀のバレンタイン・プレゼントは義理チョコか?)
5 もう少し論じてみよう―四つのヒントを応用する(あなたは「幸福」の国ブータンに住みたいですか?
格差や貧困が問題だというけれど…
人間的な、あまりに人間的な
人文系は市場で生き残れるか?)
2012年8月に刊行いたしました『本当の経済の話をしよう』(若田部昌澄/栗原裕一郎著、ちくま新書)の内容に誤りがございました。
1)第17講「あなたは「幸福」の国ブータンに住みたいですか」の、古市憲寿氏『絶望の国の幸福な若者たち』(講談社)を取り上げた箇所に、古市氏が「World Value Surveys(世界価値観調査)」を知らなかったのではないか、という主旨の記述がございます(P.241)。これは『絶望の国の幸福な若者たち』P.150にWVSを参照した箇所があり、事実に反しておりました。
2)上記の箇所で、古市氏が、現在の若者の生活満足度が高いことを指摘するにあたって内閣府の「国民生活に関する世論調査」に拠っている点について、「なぜこの調査に基づいたのか説明がない」「WVSのほうが信頼度が高いはずなのに」との記述がございます(P.240)。
これについて著者宛に古市氏より、「同じ質問を約40年にわたって聞いているため、経年での変化の傾向をとらえるのに向いている」「サンプル数がWVSよりも多く、国際比較をしないのであれば、日本の変化を見るには「国民生活に関する世論調査」のほうが信頼度が高いと考えられる」という主旨の説明がありました。これを受けて、「WVSのほうが信頼度が高い」という判断は拙速であったので保留したい旨の申し出が著者よりございました。
以上二点、関係各位および読者のみなさまにお詫びするとともに、訂正いたします。
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