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ちくま新書

仏教論争

——「縁起」から本質を問う

和辻哲郎や三枝充悳など、名だたる知識人、仏教学者が繰り広げた、縁起をめぐる戦前・戦後の論争。犀利な分析を通して、仏教の根本を浮かび上がらせた渾身作!

定価

1,034

(10%税込)
ISBN

978-4-480-07134-7

Cコード

0215

整理番号

1326

2018/05/08

判型

新書判

ページ数

320

解説

内容紹介

二千五百年もの歴史をもつ仏教。その始点にして中核と言い得るのが、「縁起」なる法則だ。だが、「これが縁起だ」という定説は、仏教全体としてはいまだ存在していない。本書は、和辻哲郎、三枝充悳といった第一級の知識人、仏教学者が縁起をめぐり繰り広げた論争を俎上に載せ、なぜ彼らが虚構を実体視する罠に陥ったのかを検証。縁起とは何であり、仏教とは何であるかを、透徹した思考で浮かび上がらせた、類例なき書。

目次

第1章 縁起という迷宮(仏教の始点
普遍性の強調―初期仏教の縁起観 ほか)
第2章 皮相な論争理解―第一次縁起論争の解剖(上)(和辻哲郎の参戦
偏見のヴェール ほか)
第3章 真の対立点へ―第一次縁起論争の解剖(下)(宇井の木村説批判
論じ返す木村泰賢 ほか)
第4章 仏教学者たちの戦い―第二次縁起論争の深層(論争を主導した三枝充悳
計四九本の論争文 ほか)
第5章 生命主義とポストモダン―仏教の日本近代とその後(仏教は生命讃美の教えにあらず
初期仏教の生命観 ほか)

著作者プロフィール

宮崎哲弥

( みやざき・てつや )

1962年生まれ。評論家。慶應義塾大学文学部社会学科卒業。研究開発コンサルティング会社「アルターブレイン」副代表。京都産業大学客員教授。コミュニタリアン、仏教徒。福岡県久留米市出身。著書多数。仏教関連では『さみしさサヨナラ会議』(小池龍之助との対談、角川文庫)、『仏教教理問答』(サンガ文庫)、『知的唯仏論』(呉知英との対談、新潮文庫)、『ごまかさない仏教』(佐々木閑との対談、新潮社)など。

お詫びと訂正

ちくま新書『仏教論争 ―「縁起」から本質を問う』(宮崎哲弥著)に誤りがありましたので、下記の通り訂正いたします。

10ページ・終わりから2行目
(誤)「生起したもの」
(正)「生起するもの」

11ページ・前から1行目
(誤)「依存して生起したもの」
(正)「依存して生起するもの」

11ページ・前から6行目
(誤)「依存して生起したもの」
(正)「依存して生起するもの」

<説明>
 多くの概説書や辞書、事典類に示されている縁起の一般的語義は「依存して生起すること」「縁って生じること」である。この「こと」というのは、通常、現象が起こる道理、原理、仕組み、機制など抽象名詞としての意味を表すと考えられている。初期仏教や大乗仏教における縁起の定義は、ほぼこの「こと」を指す。
 だがアビダルマ仏教においては、「こと」、つまり「現象が起こってくる原理」ではなく、「もの」、つまり諸存在(諸法)を示す縁起の用例が拡がった。しかも「依存して生起するもの」という因や縁を表すばかりでなく、「依存して生じたもの」という結果をも縁起という語で表すようになる。
 こうした定義の変遷を踏まえ、その語義の「幅」を示すため、「縁って生起すること」に「縁って生じたもの」を付加した。これは前著『ごまかさない仏教 仏・法・僧から問い直す』(新潮選書)の説明を踏襲したものだ。
 然るに本書では、他のページで「縁已生法(pratItya-samutpanna dhArma)」「縁已生(paTiccasamppannA)」という概念を紹介している。これは本文(p.194 )でも述べている通り「縁によって生じた事象」、正確にいえば「縁によって生じさせられた存在」であり、要は「縁起の結果」を指す。確かにアビダルマ仏教では「縁已生(法)」の意で縁起の語が用いられることがあったが、このまま詳説なく放置すれば、読者の混乱を招きかねないと判断し、現状の「生起したもの」「依存して生起したもの」を、「生起するもの」「依存して生起するもの」と訂正することにした。(宮崎哲弥)

43ページ・後ろから4行目
(誤)五支、八支、九支、十支、そして十二支
(正)五支、六支、八支、九支、十支、そして十二支

104ページ・後ろから8行目
(誤)第四次元
(正)「第四階」

105ページ・後ろから7行目
(誤)第四次元(“the fourth dimension”)
(正)「第四階(“the fourth dimension”)」=第四次元

258ページ・前から7行目
(誤)鈴木氏
(正)鈴木

275ページ・前から4~5行目
(誤)仏教以前のウパニシャッド
(正)仏教以前のブラーフマナ文献

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