岡本雅享
( おかもと・まさたか )1967年出雲市生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。現在、福岡県立大学社会学部教授。専門は政治社会学・民俗学。著書に『中国の少数民族教育と言語政策』(社会評論社、2008年)、『民族の創出』(岩波書店)、2014年、『出雲を原郷とする人たち』(藤原書店、2016年)、『千家尊福と出雲信仰』(ちくま新書、2019年)など。地域や国を跨ぐ日本型Ethnic Studiesとしての出雲学を提唱。
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千家尊福(一八四五?一九一八)は明治のはじめ、出雲大社の祭祀をつかさどる国造(宮司)につくと、近世までの出雲信仰をもとに近代的な大社教を創立。日本全国に出向き出雲信仰を説き、神道界を二分した祭神論争では出雲派のリーダーとして活躍した。「生き神様」として絶大な人気を誇った尊福は後に政治家ともなり、埼玉・静岡・東京の府県知事、司法大臣や東京鉄道社長なども務め政財界で指導力を発揮した。出雲が生んだ希代の偉人の足跡をたどり、知られざる出雲信仰の世界を描く。
1 出雲国造の世界―近世までの大社信仰(出雲国造
列島各地にある出雲国造ゆかりの神社
中世近世の出雲信仰と大社の御師
幕末の出雲歌壇と教学)
2 卓越した指導力をもつ生き神(明治宗教界の若き泰斗
祭神論争―伊勢派との対立
大社信仰の確立へ―殉教する生き神)
3 政治の世界へ(政への回帰―埼玉・静岡県知事としての功績
政財界の重鎮へ―東京府知事・司法大臣・東京鉄道社長として)
4 尊福が遺したもの―晩年の巡教と後継者たち(生涯にわたる巡教
受け継ぐ人たち)
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