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ちくま学芸文庫

鏡と皮膚

——芸術のミュトロギア

「神話」という西洋美術のモチーフをめぐり、芸術の認識論的隠喩として二つの表層を論じる新しい身体論・美学。鷲田清一氏との対談収録。

定価

1,430

(10%税込)
ISBN

978-4-480-08634-1

Cコード

0170

整理番号

-17-2

2001/04/10

判型

文庫判

ページ数

336

解説

内容紹介

深みに「真実」を求めてはならない。なぜなら「生はいかなる深さも要求しない。その逆である」(ヴァレリー)からである。オルフェウスがエウリディケーと見つめ合った瞳に、アテナの盾を飾ったメドゥーサの首に、マルシュアスの剥がされた皮に、キリストの血と汗を拭ったヴェロニカの布に―神話の根拠を古今の画家たちの作品からたどり、鏡と皮膚の織りなす華麗かつ官能的な物語を読み解く。美と醜、表層と深層、外面と内面、仮象と現実という二元論を失効させるまったく新しい芸術論。鷲田清一との対談「表層のエロス」収録。

目次

序 表層のバロック的遁走
1 オルフェウスの鏡
2 ナルキッソスの変幻
3 メドゥーサの首
間奏 可視性の謎―ベラスケス“侍女たち”をめぐって
4 マルシュアスの皮剥ぎ
5 ヴェロニカの布
6 真理のヴェール
結び 皮膚論的な想像力のために
対談 表層のエロス―皮膚論的想像力に向けて

著作者プロフィール

谷川渥

( たにがわ・あつし )

谷川 渥(たにがわ・あつし):美学者、批評家、文学博士。東京大学大学院美学芸術学専攻博士課程修了。國學院大學文学部教授、杭州師範大学客座教授、京都精華大学客員教授などを歴任。日本近代芸術史の諸問題を踏まえながら、マニエリスム・バロックからモダニズム・現代美術にいたる広範な領域を視野に収め、多様な〈美的表象〉を渉猟し、美学と批評を架橋する。著書に『形象と時間』『美学の逆説』『シュルレアリスムのアメリカ』『鏡と皮膚』『図説だまし絵』『肉体の迷宮』『幻想の花園』『ローマの眠り』など多数。

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