共産党講座派の元闘士が播州に潜行する中で、地域に沈潜、見て聞いてやった体験を元にした民俗学記。柳田國男が埓外においてきた分野に切り込んでいる。調査対象と目線の高さを同じにしているからこそ、書ける1冊である。フィールドワークもまさにこの域に達すれば以て銘ずべき。前段が農村なら後段では商家での実情が明かされる。今日、断片的に残っている習俗の原型を考える時に、欠け落ちてしまったパーツを補うことができる気がした。戦後の農地改革、高度成長期前までの社会とその後の間には大きな隔絶があるのを教えてくれる貴重な資料。
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内容紹介
筆下し、水揚げ、若衆入り、夜這い…。ムラであれマチであれ、伝統的日本社会は性に対し実におおらかで、筒抜けで、公明正大であった。日本民俗学の父・柳田国男は“常民の民俗学”を樹ち立てたが、赤松は、「性とやくざと天皇」を対象としない柳田を批判し、“非常民の民俗学”を構築し、柳田が切り捨ててきた性民俗や性生活の実像を庶民のあいだに分け入り生き生きとした語り口調で記録した。『夜這いの民俗学』『夜這いの性愛論』の二冊を合本した本書は、性民俗の偉大なフィールド・ワーカー赤松啓介のかけがえのない足跡を伝える。
目次
『夜這いの民俗学』(夜這いの民俗学
夜這いの性教育(ムラの仲間組織
子供の遊びと性
現役兵としての仲間組織 ほか))
『夜這いの性愛論』(ムラの性愛論(マツリとムラの性
農作業と性民俗
筆下し、水揚げ ほか)
マチの性愛論(場末の性生活
マチの夜這い習俗
口入屋のしくみ ほか))
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