松浦寿輝
( まつうら・ひさき )1954年、東京生まれ。1980年、東京大学大学院仏語仏文学専攻修士課程修了。現在、東京大学大学院総合文化研究科教授(表象文化論)。詩人、作家、映画評論家でもある。2000年、『花腐し』(講談社)で第123回芥川賞受賞。著書に『表象と倒錯』『エッフェル塔試論』『ゴダール』『Y・死・閾』『映画1+1』(筑摩書房)、『半島』(文藝春秋)、『物質と記憶』(思潮社)、『官能の哲学』(岩波書店)、『冬の本』(青土社)など。
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ゴダールと谷崎が描いた乳房の違い。バルテュスの画に見る緊張感漂う欲望。「欲望とは脱我ではなく、「わたし」が欲望し、かつ欲望する「わたし」自身を同時に意識している」―著者は、性は修辞的にしか語りえず修辞は性的にしか実践しえないという空転する命題を提示して、現代のメディァ空間に棲息し、あらゆる葛藤や屈折の表象として立ち上がるエロティックな記号を炙り出す。さまざまな作品を引用し横断しつつ、映画、絵画、小説等から「表象のエロス」を掬い取り描き出す、意欲的論考。
乳房が眼を閉じる―序にかえて
1 修辞的身体(´erotiques/rh´etoriques
インテルメッツォ―バルテュスの絵をめぐる ほか)
2 歴史の地平(電子的レアリスム
スクリーン―遮蔽と露出 ほか)
3 確率/イメージ/メディア(表象と確率
見えるものと見えないもの ほか)
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