田中久文
( たなか・きゅうぶん )1952年生まれ。東京大学文学部倫理学科卒業。同大学院博士課程修了。日本大学教授をへて、現在、日本女子大学人間社会学部教授。文学博士。専門は倫理学・日本思想史・日本文化論。日本の近代哲学を伝統思想との関連のなかで読み解き、現代の倫理学的課題に生かそうと試みている。主な著書に『九鬼周造――偶然と自然』(ぺりかん社、第一回中村元賞受賞)、『丸山眞男を読みなおす』(講談社選書メチエ)、『日本美を哲学するあはれ・幽玄・さび・いき』(青土社)などがある。
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〈媚態〉〈意気地〉〈諦め〉という三つの契機から、日本的美意識「いき」の構造を解明した九鬼周造。ハイデッガーやベルクソンらに師事し、豊かな方法的視座を身につけたこの哲学者にとって、人と人とのめぐり逢いの謎は、自身の実存ともあいまって生涯を覆うものであった。「偶然性」の哲学の誕生だ。のちにそれは、日本文化論における「自然」の思想においてひとつの帰結をみる。没後、時代ごとに異なる光が当てられてきた九鬼の哲学。本書は、自伝的エッセイからヨーロッパでの講演、人生観、晩年の詩論まで、その全体像と独創性を一冊で提示する。
1 自伝的エッセイ
2 九鬼哲学の出発点
3 「いき」の哲学
4 実存哲学の受容
5 「偶然性」の哲学
6 九鬼哲学の全体像
7 日本文化論
8 文芸論
関連論考
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