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シリーズ・全集

震災アーカイブを訪ねる

——3・11 現在進行形の歴史って?

あるく・みる・きく 被災地から学ぶ 新しいガイドブック

福島・宮城・岩手の特徴的な12施設をめぐり、東日本大震災から何を学び、何を次の世代に語り継ぐか考える。被災地を「あるく、みる、きく」新しいガイドブック。

定価

1,320

(10%税込)
ISBN

978-4-480-25160-2

Cコード

0326

整理番号

2025/01/06

判型

四六変判

ページ数

128

解説

内容紹介

近年、東日本大震災のようすを伝える「震災アーカイブ施設」「震災遺構」と呼ばれる学びの場が次々とオープンしている。福島・宮城・岩手の3県は地域によって抱える課題が異なり、住民たちが下した復興への決断も様々だ。特徴的な12施設をめぐりながら、震災から何を学び次の世代に語り継ぐか、考えていく。
===

 この本は、おもに2011年に起きた東日本大震災に関心がある中学生や高校生などの若い人たちに向けた一冊です。(中略)
 なぜぼくがこの本を10代のみなさんに届けたいと思ったのか。
 一つには、あなたとほぼ同世代にあたる中高生の娘と息子3人の父親だからです。3人は2000年代後半の生まれ。かろうじて震災の記憶があるかどうかという世代で、首都圏の出身です。次の世代に体験を伝えてほしいと思い、この数年、折に触れて岩手や宮城、福島の被災地を家族でドライブしてきました。
 なぜ、わざわざそんなドライブを繰り返しているのか。東北の被災地がぼくの故郷だからです。
 ぼくが生まれ育ったのは福島県いわき市の農村部。ぼくの両親が住むいわきの実家も東日本大震災の地震と東京電力福島第一原子力発電所の事故に見舞われました。小さいころから同居していた祖母は、2011年秋に首都圏の避難先で亡くなり、後に「震災関連死」の認定を受けました。
 こうした家族の体験も、ひょっとすると社会全体の問題とつながっているのでは──。そう感じたぼくは、震災から数年後の新聞社内で「記者の仕事がしたい」と手を挙げました。運よく希望が通り、別の仕事から記者へと「社内転職」しました。
 といっても、東日本大震災の問題ばかり追いかけているわけではありません。地震・津波、原発事故の被害から見えてきた問題はさまざまな領域にまたがります。
 地震や津波の被害を減らす防災にどう取り組むか。少子高齢化や過疎化が進む被災地をどう復興するか。防災や復興の進め方を、誰がどう決めるのか。災害や放射能のリスクをどう見積もればいいか。豊かな暮らしに必要なエネルギー源を今後どう確保していくか。そもそも、あの出来事をどう語り継ぎ、記録して後世に歴史として伝えていけばいいのか──。
 東日本大震災から学べるのは、東日本の被災地に限った問題ではありません。地震や津波、原発事故の問題だけでもありません。大人や専門家でさえ簡単に答えが出ない難問がいくつもあります。やがて大人になるあなたにも難しい問題を一緒に考えてほしい。そうした取り組みの第一歩は、中学や高校の理科や社会科、総合学習や探究学習のよい手がかりにもなるのではないか、と期待しています。(「はじめに」より)

目次

◇震災アーカイブ施設を訪れる前に

◆福島編
東日本大震災・原子力災害伝承館 
東京電力廃炉資料館
おれたちの伝承館
岩間防潮堤・岩間防災緑地

◇「旅」の途中で

◆宮城編
石巻市震災遺構 門脇小学校
 石巻市震災遺構 大川小学校
 リアス・アーク美術館
 震災遺構 仙台市立荒浜小学校

◆岩手編
うのすまい・トモス いのちをつなぐ未来館
大槌町役場旧庁舎跡地
キャッセン大船渡
高田松原津波復興祈念公園、奇跡の一本松ほか

著作者プロフィール

大内悟史

( おおうち・さとし )

大内 悟史(おおうち・さとし):1973年、福島県いわき市生まれ。市内の農村部で育ち、18歳で上京。99年、朝日新聞社に入社。出版局週刊百科編集部、月刊誌「論座」編集部などを経て、東京本社文化部で論壇や書評を担当している。朝日新聞出版時代は、週刊朝日百科「新発見!日本の歴史」(全50巻)のチーフエディターを務めるなど、人文系の雑誌や書籍の編集に従事。東日本大震災後の14年、記者に転身した。故郷の福島県をはじめ、被災地の震災アーカイブ施設や震災遺構を訪れる活動を個人的に展開。中学・高校に通う3人の子どもや報道・学術関係者とともに現地を訪れ、すぐに答えの出ない問いを考え続けている。

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