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ちくま文庫

誘拐

これほど魂を揺さぶられる本に出会ったことがない! 小説を超えた現実が「生きるとは?」「人間とは?」という問いを私たちに突きつける。

戦後最大の誘拐事件。残された被害者家族の絶望、犯人を生んだ貧困、刑事達の執念を描くノンフィクションの金字塔! 【解説: 佐野眞一 】

定価

880

(10%税込)
ISBN

978-4-480-42154-8

Cコード

0136

整理番号

-15-1

2005/10/05

判型

文庫判

ページ数

368

解説

内容紹介

東京オリンピックを翌年にひかえた1963年、東京の下町・入谷で起きた幼児誘拐、吉展ちゃん事件は、警察の失態による犯人取逃がしと被害者の死亡によって世間の注目を集めた。迷宮入りと思われながらも、刑事たちの執念により結着を見た。犯人を凶行に走らせた背景とは?貧困と高度成長が交錯する都会の片隅に生きた人間の姿を描いたノンフィクションの最高傑作。文藝春秋読者賞、講談社出版文化賞受賞。

目次

発端
展開
捜査
アリバイ
自供
遺書

著作者プロフィール

本田靖春

( ほんだ・やすはる )

1933年、朝鮮に生まれる。55年、早稲田大学政経学部新聞学科卒業後、読売新聞社に入社、社会部記者、ニューヨーク特派員などを経て、71年退社。64年には、売血の実態を告発し、現在の100%献血制度のきっかけとなった「黄色い血」キャンペーンを展開する。77年、『誘拐』で文藝春秋読者賞、講談社出版文化賞受賞、84年、『不当逮捕』で講談社ノンフィクション賞受賞。2004年死去。『我、拗ね者として生涯を閉ず』が遺作となる。

この本への感想

二日ほど前、朝日新聞を駅のゴミ箱で拾って、一面を読むと、出てた。良いこと。本田の決定版「誘拐」が筑摩に版権が移った。それで死後またPR。この本だけは良い。
 こんな良い本がほとんど知られていない。どうなっているのかと思うな。
 生前、本田氏に会って聞いたことがある。何が一番難しかったかと。
「故人を書いた。あれが本当に小原だったかはどうかはわかりません」
 うなったなあ。あの言葉には。
 おーい、皆、この本を買えよ。最後の一行がよし。話者がよし。よくしゃべせたものですが、こういわせる。
「落としたのは俺だけど裁いたのは俺じゃない」と。
 死刑制度がある以上、良い仕事をした刑事はこういうでしょうが、うむ。なんとも陰鬱な場面で終わるべな。
 しゃべったのは落としの鬼といわれた平塚刑事という人らしいが、40年前の事件とはいえ、新鮮なはず。

オレオレ、本読み鬼

さん
update: 2008/07/10
 仕事でいった南千住からの帰途、駅前にある「回向院」を覗いたら、入り口左側に吉展地蔵があり、村越家と書いた桶がおいてありました。自分の中学時代に起きた「雅樹ちゃん事件」に続く誘拐事件で、ザピーナツの歌等当時の事に思いを巡らせました。早速、書店にて本書を買い求め一気に読了しました。取材の苦労話、著者の主観を前面に出したりせず淡々と事実を積み重ねていく手法に感嘆しました。犯人小原保の残した短歌には心を揺さぶられます。

南 太郎

さん
update: 2008/05/25

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