香山リカ
( かやま・りか )1960年北海道生まれ。東京医科大学卒業。精神科医。専門は精神病理学。立教大学現代心理学部映像身体学科教授。豊富な臨床経験を生かして、現代人の心の問題から社会批評まで幅広い分野で活躍している。著書に、『<いい子>じゃなきゃいけないの?』(プリマ―新書)、『悲しむのは、悪いことじゃない』(筑摩書房)、『劣化する日本人』(ベスト新書)、『ソーシャルメディアの何が気持ち悪いのか』(朝日新書)、『堕ちられない私 精神科医のノートから』(文春新書)等多数。
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解離性障害や離人症は何らかのトラウマが原因だとされるが、キレる子供の精神病理や多重人格的な振る舞いの背後に、明確な因果関係を見出すのは難しくなっている。そうした現象を正確に理解するには、IT技術の進化と普及によって急速に変貌しつつある社会自体の診断が欠かせない。不安定化する現代社会を背景に、希薄な現実感や当事者意識の困難さにとまどう現代人の心理現象を読みとく。
第1章 変容するリアリティ―離人感覚が蔓延する
第2章 リアリティを取り戻したい―自傷・ピュア願望・出会い系
第3章 心が解離していく―トラウマなき多重人格
第4章 ボーダーライン時代のカリスマ――「イメージ」と「個」
第5章 多重化するリアルの行方―テロ事件が扉を開く?
第6章 これは日本のリアルなのか?―二〇〇五年の風景より
第7章 「自分」が分割される―ポストモダン心性について
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