佐野洋子
( さの・ようこ )(1938-2010)北京生まれ。武蔵野美術大学卒業。絵本、小説、エッセイの各分野で活躍。2003年紫綬褒章受章。絵本に『100万回生きたねこ』、『おじさんのかさ』(サンケイ児童出版文化賞推薦)、『わたしが妹だったとき』(新美南吉文学賞)、エッセイ集に『がんばりません』『私はそうは思わない』、『神も仏もありませぬ』(小林秀雄賞)、『シズコさん』『役にたたない日々』など。
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呆けてしまった母の姿に、分からないからこその呆然とした実存そのものの不安と恐怖を感じ、癌になった愛猫フネの、生き物の宿命である死をそのまま受け入れている目にひるみ、その静寂さの前に恥じる。生きるって何だろう。北軽井沢の春に、腹の底から踊り狂うように嬉しくなり、土に暮らす友と語りあう。いつ死んでもいい、でも今日でなくていい。
これはペテンか?
ありがたい
今日でなくてもいい
虹を見ながら死ね
声は腹から出せ
フツーに死ぬ
そういう事か
それは、それはね
そうならいいけど
納屋、納屋
フツーじゃない
じゃ、どうする
何も知らなかった
山のデパートホソカワ
出来ます
他人のウサギ
謎の人物「ハヤシさん」
金で買う
あとがきにかえて
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