片山廣子
( かたやま・ひろこ )片山 廣子(かたやま・ひろこ):1878~1957年。東京生まれ。歌人、随筆家、翻訳家。東洋英和女学校卒業、佐佐木信綱に師事し歌人として活躍、歌集『翡翆』『野に住みて』を出版。松村みね子の筆名で、シング、イエーツなどのアイルランド文学の翻訳を手がけ、坪内逍遥、森鴎外らに高く評価された。1953年刊の随筆集『燈火節』(暮しの手帖社刊)は第3回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。芥川龍之介の思い人としても知られ、『或阿呆の一生』に登場する。
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風変わりで、ゆかしく、愉しく、美しい
単行本未収録2編を加えた文庫オリジナル
虹色の宝石のような一冊
その人は言った、「まづしい日々に、何かの希望をもち、そして失望し、また希望し工夫をし、溜息をし、それを繰り返して生きることは愉しい」と。三月は雨のなかの微笑、六月は 荘厳、十月は 溜息……美を夢み、暮らしに潜む、揺るぎない生の本質を掬い、織り上げた、風変わりでゆかしく、清澄な片山廣子の世界。アンソロジーの名手により蘇る、単行本未収録の 2 作品を加えた珠玉のオリジナル作品集。
或る国のこよみ
一月 霊はまだ目がさめぬ
二月 虹を織る
三月 雨のなかに微笑する
四月 白と緑の衣を着る
五月 世界の青春
六月 壮厳
七月 二つの世界にゐる
八月 色彩
九月 美を夢みる
十月 溜息する
十一月 おとろへる
十二月 眠る
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