稲葉佳子
( いなば・よしこ )稲葉 佳子(いなば・よしこ):1954年生まれ。博士(工学)。 都市計画コンサルタンツ、法 政大学兼任講師を経て、2008年よりNPO法人かながわ外国人すまいサポートセンター理 事。専門は、まち形成史・外国人居住。著書に『郊外住宅地の系譜─東京の田園ユートピア』(共著、鹿島出版会)、『オオクボ 都市の力─多文化空間のダイナミズム』(学芸出版社)などがある。
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“歌舞伎町映画街”も“珈琲文化”も台湾人から生まれた――
闇市マーケットからはじまる、まちとひとの忘れ得ぬドラマがここにある。
新たな取材によるエッセイ二篇を加えた増補完全版!
胸がざわつく、どこか危うい磁場のような町。
歌舞伎町の台湾人の歴史は、私の家族の歴史にも繋がり、小説のようである。
――余貴美子(俳優)
敗戦までの50年間、日本の統治下にあった台湾。8万人あまりが"日本兵"として駆り出され、戦前から日本に内地留学をしていた者も多くいた。戦後、今度は一転"外国人"として扱われ、帰る場所を失った台湾人は、やがて駅前の闇市で財をなし、焼け野原に新たに構想された興行街・歌舞伎町をめざした──。モダンな名曲喫茶や"じゅく文化"を育んだ台湾人たちの、初めて明らかにされる貴重な時代証言。後日談を増補!
解説 石榑督和
カバーデザイン 鈴木成一デザイン室
はじめに――歌舞伎町、ふたつの物語
語られてきた歌舞伎町史
花道通りのペントハウスから始まる物語
第1章 〈ルンバ〉の青春1945―49――虚脱から再起へ
“やんちゃ”少年、内地へ留学する
ヤミ市から始まった戦災復興
喫茶店〈ルンバ〉の時代
新宿西口マーケットの“中華街”
第2章 〈地球座〉から始まった歌舞伎町1945―49――理想と停滞
鈴木喜兵衛が描いた理想のまちづくり
林以文、〈地球座〉に出会う
未だ見えぬまち
〈芙蓉館〉からラブホテル街へ
第3章 「歌舞伎町」前夜1950―54――焦燥から光明へ
“博覧会”という宴のあと
駅前の“ヤミ市”去って、歌舞伎町に“青線”来たる
〈新宿劇場〉に受け継がれた赤い風車
パチンコとヤキトリで賑わう新宿西口マーケット
第4章 “じゅく文化” の裏に台湾人華僑あり1955―64――胎動から興隆へ
“じゅく文化”は名曲喫茶から
娯楽のまちと暮らしのまち
新宿西口マーケットの消滅
第5章 台湾人が愛した歌舞伎町1965―74――爛熟、そして変容
華僑ストリートになった花道通り
歌舞伎町の“ザ・台湾人華僑”たち
去りゆく戦後
おわりに――再開発のなかの歌舞伎町
あとがき
『台湾人の歌舞伎町』後日談
名曲喫茶〈らんぶる〉の誕生
スカラ座の二代目
文庫版あとがき
解説 石榑督和――歌舞伎町で暮らした台湾人たちの時間を紡ぎ、まちの歴史を描く
参考文献
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