藤永茂
( ふじなが・しげる )1926年中国・長春生まれ。九州帝国大学理学部物理学科卒業。京都大学で理学博士の学位を取得。九州大学教授を経て、カナダ・アルバータ大学教授就任。現在同大学名誉教授。著書:『分子軌道法』(岩波書店)、『アメリカ・インディアン悲史』(朝日選書)、訳書コンラッド『闇の奥』(三交社)他多数。
loading...
「なぜなら、私が愚かだったからだ」。
ロバート・オッペンハイマーは、ロス・アラモス研究所初代所長としてマンハッタン計画を主導し原子爆弾を生み出した。その結果、「原爆の父」と呼ばれるようになるが、彼自身は名声の陰で原爆のもたらした被害や、さらに強力な兵器「水爆」の誕生につながる可能性があることに罪の意識を抱き、苦しみ、その開発に反対の意思を表明していた。そこでアメリカが彼に与えたのは、「裏切者」の烙印だった。
著者は、これまでに数多く書かれたオッペンハイマー伝を再検討し、その多くに批判を加える。豊富な史実をもとに、彼の足跡を辿り、政治に翻弄された科学者としての愚挙と内面の葛藤に迫る。
優等生
救いと物理学
美しき日々
核分裂連鎖反応
ロスアラモス
トリニティ、広島、長崎
プルーデンスに欠けた男
核国際管理の夢
戦略爆撃反対
オッペンハイマー聴聞会
物理学者の罪
晩年
本書をお読みになったご意見・ご感想などをお寄せください。
投稿されたお客様の声は、弊社HP、また新聞・雑誌広告などに掲載させていただくことがございます。