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ちくま学芸文庫

ロバート・オッペンハイマー

——愚者としての科学者

定価

1,540

(10%税込)
ISBN

978-4-480-51071-6

Cコード

0142

整理番号

-47-1

2021/08/10

判型

文庫判

ページ数

448

解説

内容紹介

「なぜなら、私が愚かだったからだ」。
ロバート・オッペンハイマーは、ロス・アラモス研究所初代所長としてマンハッタン計画を主導し原子爆弾を生み出した。その結果、「原爆の父」と呼ばれるようになるが、彼自身は名声の陰で原爆のもたらした被害や、さらに強力な兵器「水爆」の誕生につながる可能性があることに罪の意識を抱き、苦しみ、その開発に反対の意思を表明していた。そこでアメリカが彼に与えたのは、「裏切者」の烙印だった。
著者は、これまでに数多く書かれたオッペンハイマー伝を再検討し、その多くに批判を加える。豊富な史実をもとに、彼の足跡を辿り、政治に翻弄された科学者としての愚挙と内面の葛藤に迫る。

目次

優等生
救いと物理学
美しき日々
核分裂連鎖反応
ロスアラモス
トリニティ、広島、長崎
プルーデンスに欠けた男
核国際管理の夢
戦略爆撃反対
オッペンハイマー聴聞会
物理学者の罪
晩年

著作者プロフィール

藤永茂

( ふじなが・しげる )

1926年中国・長春生まれ。九州帝国大学理学部物理学科卒業。京都大学で理学博士の学位を取得。九州大学教授を経て、カナダ・アルバータ大学教授就任。現在同大学名誉教授。著書:『分子軌道法』(岩波書店)、『アメリカ・インディアン悲史』(朝日選書)、訳書コンラッド『闇の奥』(三交社)他多数。

この本への感想

今話題になっている映画『オッペンハイマー』では、原爆製造のマンハッタン計画を主導したオッペンハイマーを生い立ちから晩年まで追って見応え十分な大作でした。人類を抹殺しうる殺戮兵器を作り出し、誠実で人間的な科学者がモンスターになってしまった現代とはなにか。科学のありようを考えさせられます。
映画を観て、あらためて本書を読み返すと、映画はこの本の初版(1996)当時に、藤永茂氏が書いたものをあらためて確認させるもので、さらに本書はその奥までを見抜いていたのだと慧眼に感じ入るものがありました。本書がながく読みつがれることを望みます。

小波秀雄

さん
update: 2024/04/21

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