福島真人
( ふくしま・まさと )1958年、東京都生まれ。東京大学大学院情報学環・学際情報学府教授。専門は科学技術社会学(STS)。著書に『暗黙知の解剖』、『ジャワの宗教と社会』、『真理の工場』。共著に『予測がつくる社会』、『ワードマップ 科学技術社会学(STS)』などがある。
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医療現場、原子力発電所等、一つ間違えば大きな事故が生じうる組織において、学習はどのようになされるか――。失敗を含む「日常的実験」の繰り返しこそ、現場での学習の資源である。本書では、このリスクを伴う試行錯誤を許す空間を「学習の実験的領域」と呼び、法的・経済的諸条件に影響され、組織ごと、状況ごとに変動するその不安定なありようを明らかにする。フィールドワークや豊富な民族誌的資料をもとに、学習を社会科学のテーマとして扱い、状況的学習論といった従来の理論モデルを超える新たな枠組みを示した。事故と安全、科学技術、組織といった具体的文脈のもとでの学習を考える、数々の概念装置を与える書。 解説 熊谷晋一郎
1 実践から日常的実験へ―学習理論の再検討(野生の知識工学―「暗黙知」の民族誌のための序論
状況・行為・内省―共同体神話を超えて
空洞の共同体―教育研究における徒弟制モデルの功罪
学習の実験的領域―試行・コスト・免責)
2 組織というレッスン―リスク・知識・テクノロジー(組織、リスク、テクノロジー―高信頼性組織研究について
アメリカン・アサイラム―精神病院民族誌と科学社会学の起源
野生のリスク管理―病棟のダイナミクスを観る
救命救急センターにおける組織と学習)
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