鷲見誠一
( すみ・せいいち )鷲見 誠一(すみ・せいいち):1939年東京生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。慶應義塾大学名誉教授。専門は中世ヨーロッパ思想史。著訳書に『人権の政治思想』(明石書店)、『現代意識の諸相』(編著、慶應義塾大学出版会)、ジョセフ・ストレイヤー『近代国家の起源』(岩波新書)、ブライアン・ティアニー『立憲思想』(慶應通信)など。
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社会とは神が人間に与えた秩序であり、その安定と維持こそが中世キリスト教世界における政治であった。ローマ教皇と神聖ローマ皇帝という二つの中心が社会的機能と責任を担う。だが、時に激しく対立し、グレゴリウス改革や叙任権闘争を極点として、統治の本質が根底から問われる事態へと発展する。聖書解釈に基づく両者の理論対決は、政治思想の錬磨を促さずにはおかない。普遍的で超越的なものを志向する意志と密接不可分な「合理性」がここに芽生え、やがてそれがヨーロッパ人の思惟構造を形づくっていくのである。中世の核心を伝えるだけでなく、近代の性格をも照らし出す類まれな講義。
序 章 日本人にとってヨーロッパ中世とは?
第Ⅰ章 ヨーロッパ・キリスト教的政治圏の成立
第Ⅱ章 「普遍」の確立
第Ⅲ章 「特殊」の発生と展開
第Ⅳ章 中世の終わりの始まり
参考文献
あとがき
文庫版あとがき
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