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ちくま学芸文庫

中世政治思想講義

——ヨーロッパ文化の原型

合理性の芽生え

中世にこそヨーロッパの核心がある。理性と信仰の調和を求める思考はいかなる政治思想を形づくったか。近代に対する視座をも与える類まれな講義。

定価

1,430

(10%税込)
ISBN

978-4-480-51248-2

Cコード

0110

整理番号

-33-1

2024/07/10

判型

文庫判

ページ数

320

解説

内容紹介

社会とは神が人間に与えた秩序であり、その安定と維持こそが中世キリスト教世界における政治であった。ローマ教皇と神聖ローマ皇帝という二つの中心が社会的機能と責任を担う。だが、時に激しく対立し、グレゴリウス改革や叙任権闘争を極点として、統治の本質が根底から問われる事態へと発展する。聖書解釈に基づく両者の理論対決は、政治思想の錬磨を促さずにはおかない。普遍的で超越的なものを志向する意志と密接不可分な「合理性」がここに芽生え、やがてそれがヨーロッパ人の思惟構造を形づくっていくのである。中世の核心を伝えるだけでなく、近代の性格をも照らし出す類まれな講義。

目次

序 章 日本人にとってヨーロッパ中世とは?
第Ⅰ章 ヨーロッパ・キリスト教的政治圏の成立
第Ⅱ章 「普遍」の確立
第Ⅲ章 「特殊」の発生と展開
第Ⅳ章 中世の終わりの始まり

参考文献
あとがき
文庫版あとがき

著作者プロフィール

鷲見誠一

( すみ・せいいち )

鷲見 誠一(すみ・せいいち):1939年東京生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。慶應義塾大学名誉教授。専門は中世ヨーロッパ思想史。著訳書に『人権の政治思想』(明石書店)、『現代意識の諸相』(編著、慶應義塾大学出版会)、ジョセフ・ストレイヤー『近代国家の起源』(岩波新書)、ブライアン・ティアニー『立憲思想』(慶應通信)など。

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