マット・リドレー
( りどれー,まっと )マット・リドレー(Matt Ridley):1958年英国生まれ。オックスフォード大学で動物学を専攻し、『エコノミスト』誌で科学記者となる。主著に『赤の女王』『繁栄』『進化は万能である』(いずれも早川書房)などがある。
loading...
生物が集団の中で、ときに自分の利益を犠牲にして協力をするのはなぜか? 労働・交易・戦争など豊富な事例をひきつつ「徳」と遺伝子の関係を解く。
1,650
円978-4-480-51255-0
0145
-11-1
2024/08/07
文庫判
464
頁人間が集団のなかで、往々にして自分の利益を犠牲にしてまで協力・助け合いをするのはなぜか? ベストセラー『赤の女王』の著者が、本書において、ドーキンスの「利己的な遺伝子」では説明しきれない問題を、「遺伝子功利主義」をもって解剖していく。ミツバチ・チンパンジー・オオカミなど多くの生物の観察を引きながら、労働・戦争・交易といった社会生活のさまざまな局面をとおし人間にとって「徳」は遺伝子の産物であるとの結論を導き出す。人間という動物の、驚くべき本性と社会的性質の秘密を解く。
プロローグ ――ロシアのアナーキストの脱獄
第1章 遺伝子の社会――反乱について
協力のロシア人形/利己的な遺伝子/利己的な胚/ミツバチの巣の内乱/肝臓の反乱/身中の虫/全体の幸福
第2章 労働の分担――自給自足は過大評価されている
集団主義/ピンづくりの寓話/石器時代の技術革新
第3章 囚人のジレンマ――コンピュータは協力を学ぶ
タカとハト/血を分けたコウモリの兄弟たち
第4章 タカとハトの違い――よい評判をとれば得をする
怪物退治 /「お返し戦略」のアキレス腱 /パブロフ登場/相手の出方をみる魚/最初の道徳家/魚を信じることができるか?
第5章 義務とごちそう――食べ物に関する人間の寛大さ
セックスのための肉 ― チンパンジーの場合/男女の分業/平等主義者のサル/リスクの分散
第6章 公益と個人的贈り物――マンモス一頭を全部食べきることのできる人はいない
盗みの黙許/社会的市場/武器としての贈り物/見栄を張る
第7章 道徳感情論――感情はわれわれが合理的愚か者になることをふせぐ
復讐は非合理的である/約束/公正さの重要性/道徳感性/他者を利他主義者にさせる/道徳感情論
第8章 部族をつくる霊長類――競争するために協力しあう動物たち
態度の悪いサルたち/イルカの暗い側面/部族の時代/青緑アレルギー
第9章 戦争の原因――協力的な社会にも集団間の偏見という弊害がある
利己的な群/郷に入っては/一〇〇万人の人間がいっせいに間違うことはない、というのは真実か/汝の隣人を愛せ、だが隣人以外はすべて憎め?/パートナーを選ぶ
第10章 交易による利益――交換によって二足す二は五になる
交易戦争/商人の法律/銀と金/比較の問題
第11章 宗教としての生態学――自然と調和して生きることは思ったよりも難しい
説教と実行/石器時代の大規模な絶滅/ヒツジの囲いを見つけたオオカミのように/価値への招き
第12章 財産の力――政府に足りないもの
大衆の権利/国営化には要注意/リバイアサンの悲劇/研究室の高潔な野人/動くものすべからく利用すべし/独占はタブー
第13章 信頼――著者は突然大急ぎで政治的教訓を導き出す
万人の万人に対する戦争/高潔な野人/楽園の再発見/共同体精神を盗んだのは誰か
文庫版監修者解説 岸由二
本書をお読みになったご意見・ご感想などをお寄せください。
投稿されたお客様の声は、弊社HP、また新聞・雑誌広告などに掲載させていただくことがございます。