北博昭
( きた・ひろあき )北 博昭(きた・ひろあき):1942-2022年。鳥取県生まれ。東京都立大学大学院修士課程修了。旧日本軍の司法問題を扱う軍法務研究に取り組み、高校教諭を経て、大阪経済法科大学客員教授などをつとめる。著書に、『日中開戦――軍法務局文書から見た挙国一致体制への道』(中公新書)、『二・二六事件 全検証』『戒厳――その歴史とシステム』(ともに朝日選書)、『戦場の軍法会議――日本兵はなぜ処刑されたのか』(NHKスペシャル取材班との共著、新潮文庫)などがある。
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交戦下において軍律違反者を処断する軍の審判機関、軍律法廷。旧日本軍は先の大戦において、多数の敵国兵や現地住民をこの軍律法廷にかけて死罰などに処したが、その関連資料はことごとく処分され、いまだ全容は解明されていない。本書では、名古屋大空襲の際に捕縛した米兵11人を軍律法廷にかけて斬首した一件をめぐる戦犯裁判、「イトウ・ケース」に注目し、その記録から軍律法廷の実相に迫っていく。それは非道な殺害行為を正当化する建前に過ぎなかったのか、それとも戦時の無法を食い止める役割を果たしていたのか。史料を丹念に読み解き、その知られざる実態を明らかにする。解説 新井 京
はしがき
第一部 軍律法廷とはなにか
一 軍律と軍律法廷
1 太平洋戦争下の軍律
2 太平洋戦争下の軍律法廷
二 イトウ・ケースの発端
1 無差別爆撃
2 名古屋空襲で捕らえられた十一名
三 なぜ戦犯裁判にかけられたか
1 軍律法廷とはそういうもの
2 審判は不当だったか
3 認められた審判もある
四 外国の軍律法廷
1 軍事委員会
2 戦争犯罪への対応
五 軍律法廷と自衛隊
第二部 名古屋空襲の軍律審判
一 無差別爆撃は戦争犯罪
1 ドーリットル空襲
2 空襲軍律の制定
3 第十三方面軍軍律会議と軍法会議
二 捜査機関としての検察官
1 捜査の始まり
2 検察官職の資格
3 取り調べ
三 処罰を求める
1 陸軍大臣の指示
2 審判の請求
3 軍律と軍罰
四 審判の開始
1 列席者
2 審判官
3 捕獲搭乗員の入廷
五 全員に死罰
1 すすむ審理
2 審判は終わった
3 軍律法廷の記録
六 軍罰の執行
1 執行命令が出る
2 準備はできた
3 場所は小幡原射撃場
あとがき/解説(新井京)/おもな引用・参考文献/参考史料/参考図表/索引