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ちくま学芸文庫

京劇

——「政治の国」の俳優群像

帝国から革命、内戦、文革へ──

中国の伝統劇・京劇。その歩みは康熙帝から毛沢東まで、政治と深く絡んできた。近現代史をドラマチックに描いたサントリー学芸賞受賞作。

2002年 サントリー学芸賞

定価

1,760

(10%税込)
ISBN

978-4-480-51308-3

Cコード

0122

整理番号

-61-1

2025/07/10

判型

文庫判

ページ数

464

解説

内容紹介

中国の伝統劇として真っ先にイメージされる京劇。しかしその始まりは、中国文明の歴史を考えると意外に新しい。本書は清朝期に京劇が成立し、日清・日中戦争や国共内戦、文化大革命を経て現代に至るまでの歩みを、主要な俳優たちの波乱の人生と共に活写する。演劇は文字が読めなくても楽しめるため、民衆支配の手段を求めた康熙帝から毛沢東に至るまでの政治権力と密接に結びつき、ナショナリズムのシンボルや外交の道具にもなった。漢詩・漢文とは異なる「小伝統」としての京劇から歴史を照射することで、民衆の感覚に根差した生き生きとした近代中国像が浮き彫りになる。サントリー学芸賞受賞作。

目次

はじめに
第一章 京劇形成までの道のり 清初から乾隆帝まで
幕間戯Ⅰ
第二章 清朝の衰退、京劇の発展 十九世紀初頭から清末まで
幕間戯Ⅱ
第三章 近代化への苦しみと京劇 辛亥革命から民国初年まで
幕間戯Ⅲ
第四章 京劇の黄金時代 慢性的内戦と平和
幕間戯Ⅳ
第五章 戦火と京劇 満洲事変から国共内戦まで
幕間戯Ⅴ
第六章 国をあげての京劇改革 建国前後から文革前夜まで
幕間戯Ⅵ
第七章 革命模範京劇の時代 文化大革命期
幕間戯Ⅶ
第八章 グローバル時代の京劇 市場経済の荒波の中で
幕間戯Ⅷ
あとがき
文庫版あとがき
主要参考文献一覧
索引

著作者プロフィール

加藤徹

( かとう・とおる )

加藤 徹(かとう・とおる):1963年東京生まれ。東京大学文学部卒、同大学院人文科学研究科博士課程単位取得満期退学。広島大学助教授を経て、現在、明治大学教授。学生時代は「票友」(アマチュア京劇俳優・楽器奏者)として舞台上演や日本語京劇の創演にも参加、プロの京劇俳優と交流した。著書に『西太后──大清帝国最後の光芒』(中公新書)、『貝と羊の中国人』(新潮新書)、『漢文の素養──誰が日本文化をつくったのか?』(光文社新書)、『梅蘭芳──世界を虜にした男』(ビジネス社)など。

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