奥野克巳
( おくの・かつみ )奥野 克巳(おくの・かつみ):1962年、滋賀県生まれ。立教大学異文化コミュニケーション学部教授。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。著書に『「精霊の仕業」と「人の仕業」』(春風社)『ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと』(亜紀書房、のちに新潮文庫)『絡まり合う生命』(亜紀書房)『これからの時代を生き抜くための文化人類学入門』(辰巳出版)『はじめての人類学 』(講談社現代新書)など多数。
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世界には、「貧富の差」のない共同体や、学校に行かずそもそも「教わる」という概念もない社会が存在する。常識を常識をひっくり返して「そもそも」を問う思考法には、問題を定義し直し、より本質的な議論に導く力があります。学校教育や貧富の格差、心の病など、身近で大きな社会・環境危機に人類学で立ち向かう一冊。
【本書で扱う一例】
ヘヤー・インディアンは「教わる」という概念を持たない
⇒学校ってなぜ行くの?そもそも学ぶって何?
プナンは獲物もお金もみんなでシェアして貧富の差がない
⇒格差や権力はそもそもなぜ生まれるの?
ひっくり返して考えた時、問題の根本が見える。
序章 人類学でひっくり返すとはどういうことか?
1「精神の危機」によって生まれた人類学
2『ひっくり返す人類学』とは何か?
3本書が目指す「処方箋」としての人類学
第1章 学校や教育とはそもそも何なのか
1私の「お稽古ごと」時代
2ピアノ教室の未知の世界
3学校教育とは何か
4「師弟関係」がないヘヤー・インディアン
5ヘヤーにとって「覚える」とは?
6ボルネオ島の狩猟民プナンにとっての「学び」
7プナンにとって「学校」とは何か?
8学校には行かなければならないの?
9「知識」とともに「知恵」を重んじる
第2章 貧富の格差や権力とはそもそも何なのか
1世界と日本における貧富の格差
2貧富の格差のないプナン社会
3貧富の格差が生じないような仕組み
4権力とは何か
5気前のいいビッグマン、不穏なビッグマン
6権力を生じさせないための工夫
第3章 心の病や死とはそもそも何なのか
1働きすぎやうつ病をめぐる私たちの日常
2うつ病や心の病のない社会
3カリスの唇のあやまち
4それは心の病ではない
5日本における「この世」からの別離
6葬儀の変化、死の消滅
7人が死ぬと残された家族の名前が変わる
8日本の戒名とプナンのデス・ネーム
9死者を「忘れる」
第4章 自然や人間とはそもそも何なのか
1自然と人為という枠組み
2人間から分け隔てられる動物
3自然と人間の二元論に抗する思考
4トリと動物と人間の三者間関係
5動物は思考し、森も思考する
6山や川もまた人間
おわりに
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